第9話 さらばラザニア王国…
朝になり、勇都は食事を済ませ関所へと向かった。
一番乗りだった。
次第に勇都の後ろに人が並び始める。
関所の門が開き、勇都は受付に向かう。
受付で手続きをする勇都。
受付の兵士は、勇都の鉄等級のギルドカード等を確認する。
十分後…
「通っていいです。お気を付けて。」
勇都に許可が下りた。
(よし、これでボルシチ共和国に行けるぞ!)
勇都は、新しい国に入れることに嬉しさを感じていた。
受付の奥の通路を抜けると大きな門があった。
兵士達が閂を取り、門の扉を開ける。
勇都は、ふと振り返る。
現実世界で死に、異世界にやってきた。
ラザニア王国の数か月は、勇都にとってとても濃い期間であった。
(ありがとう!また帰ってきます。さらば、ラザニア王国!!)
勇都は、門を通過していった…
門を通過し、ボルシチ共和国の関所に入る。
勇都は、ボルシチ共和国の地に足を踏み入れた。
歩いて行くとボルシチ共和国の兵士達が居た。
勇都は、気づく。
ラザニア王国の兵士は、綺麗なチェーンメイルや鎧を着用している。
しかし、ボルシチ共和国の兵士達の装備は、皮の鎧や傷付いた装備だった。
兵士達の表情も冴えない。
疲労の色が見え隠れしている。
「…受付は、こちらへ…」
勇都は、受付の兵士の所に行く。
目的やギルドのカードを出して手続きをする。
「通っていいですよ。冒険者よ。ただ、ご注意ください。」
兵士は、勇都に注意を促す。
「え、ボルシチ共和国は治安が悪いのですか?!」
勇都は、兵士に質問をする。
「この1年で少し悪化しています。以前は平和な国でしたが…くれぐれも自分の命を大事にしてください。ここから1時間程歩くとノルンの村があります。よき旅を…」
兵士は、勇都に声を掛けながらも直ぐに眼を背ける。
勇都は、そのまま関所を出た。
勇都は、勝手な想像をしていた。
ボルシチ共和国も自然が豊かで、治安も良い場所だと勝手に解釈していた。
しかし、兵士の言葉で違うと知らされた。
ボルシチ共和国に不安を感じていた。
勇都の目の前に広がる空の雲が、黒くなりどんよりとしていた…
 




