第8話 毒の鞭…
勇都に迫ってくる存在があった。
犬の顔をし、体は人間。
手には、剣や石斧等を持っていた。
「来よったな。コボルド共よ。」
サマエルは、嬉しそうに笑っていた。
犬の顔をしたモンスター、コボルドだった。
群れで行動し、冒険者や旅人に攻撃し物を奪うと言う話を勇都はギルドで何度か聞いたことがあった。
「師匠。コボルドが居るのわかっていたんですか?」
勇都は、魔剣グランベリーに変化したサマエルに話す。
「うむ。関所に行く時に存在を理解した。宿屋が満杯で良かった。これで栄養補給ができる。」
コボルドは、銀を変化させる毒を持つと言われていた。
コボルド達は、勇都の周りを円になって囲む。
言葉は理解できないが、勇都を見て何か叫んでいた。
身構える勇都。
「おい、勇都。今日の戦いであれを試してみよう。」
「師匠、あれって…」
「そう、あれじゃ。」
魔剣グランベリーから紫の炎が上がる。
勇都に迫ろうとしたコボルド達が立ち止まった。
「勇都よ。さあ、コボルドを倒すのだ。」
「はい、やってみます!」
勇都は、グランベリーの柄に茶色の球体をはめ込む。
そして、グランベリーを自分の前に突き出す。
「毒放出…解放!!!」
グランベリーから紫色の炎が細く長く噴き出した。
驚き後ずさるコボルド達。
すると、長く細い炎が勇都の足元まで伸びる。
勇都は、グランベリーを持ち動かし始める。
炎が鞭のようにしなり出していく。
炎を回転させて頭上で回す勇都。
コボルド達は、目の前で何が起こっているのか理解できずに固まっていた。
「さあ、勇都よ。倒せ!」
「行くぞ!ポイズンウィップ!!!」
ポイズンウイップと言う技の名称を付けた勇都。
勇都は、炎を鞭のように振るい、コボルド達に当てていく。
鞭の炎は、コボルド達の顔や、体に当たる。
当たった場所から少し煙が出る。
コボルド達は、叫び声を上げる。
すると、コボルド達は口から白い泡を吹き出し、地面に倒れていく。
痙攣し、動けなくなっていた。
勇都は、ラザニア王国に咲く、毒の花アゾルバときのこの毒を混ぜたものを使った。
毒花ときのこの毒は、体を痺れさせて一定時間動けなくさせる効果があった。
「うむ。中々上手くいったではないか勇都よ。さ、止めを刺せい。」
「はい。」
勇都は、地に倒れたコボルド達に魔剣グランベリーを向ける。
「ごめんね。生きていくために必要なんだ。許してね…」
勇都は、グランベリーをコボルドに向けて突き刺した…
それから、しばらく時間が経過した。
「ふう。毒の採集は完了したな。勇都よ。」
「大丈夫です。」
勇都は、コボルドの毒を小瓶に入れていた。
コボルド達を倒し、寝床に戻る勇都。
サマエルは、周りを警戒したが、特にモンスターが近づいてくる気配も無いと確認をしていた。
「もう数時間で朝になる。それまで、寝て置け。」
サマエルは、勇都に言う。
「はい、それまで寝かせてもらいます。おやすみなさい。」
勇都は、毛布を体に包み、あっという間に寝息を立てた。
それから、数時間後、朝日が昇った。
勇都は、眩しい陽の光で目を覚ました…




