第6話 勇都、国境を目指す…
街を出た勇都。
ラザニア王国の国境を目指していた。
歩いて2時間程で到着をする。
しかし、フォリーナに出発する前に言われた。
国境には関所がある。
関所には、商人や冒険者等に溢れている。
手続きが終われば通れるが、時間が掛かるようならその日は通過できない。
夕方には審査受付が終わるので、関所近くの宿屋に泊るしかないと教えられていた。
勇都は、心臓がドキドキしていた。
何が待っているかわからないが、これからの冒険が内心、とても楽しみだった。
「お、勇都よ。何だか楽しそうだな。」
魔剣グランベリーに姿を変えたサマエルが勇都に話しかける。
「ええ。本格的な冒険が出来るかと思うと嬉しくて…」
勇都の表情は、明るかった。
歩いて行くと、目の前へに進む者達が見えてくる。
商人や、冒険者等様々な人々が歩いていた。
(皆、ラザニア王国を出て、ボルシチに向かう人達かな?)
勇都は、歩いている者の中に異質な存在を見つける。
背が高く、髪が短い筋肉質で屈強の男性。
全身鎧に身を包み、背中には巨大な盾を背負っていた。
その隣には、神官職なのか綺麗で豪華な白い服装をし、杖を持った女性がいた。
親子程の年齢差の冒険者に見えた。
(な、何か本格的な冒険者って感じがする。あの人達。)
勇都がそう思っていると、盾を背負った男が振り向き勇都を見る。
男はじっと勇都を見る。
(え、俺何かしたかな?!)
勇都は、男の厳しく鋭い眼光に怯んでしまった。
しばらくすると男は、勇都から視線を外し再び歩き出した。
(今、睨まれた冒険者達。なかなかの強さを持っておるな。勇都、面識でもあったか?)
サマエルに呼ばれ、勇都は首を振る。
勇都は、気持ちを切り替えて歩き出した…
それから2時間後…
勇都は、国境の関所に着いた。
休み休み自分のペースで勇都は歩いてきた。
「あー、疲れた。結構足が痛いや。」
勇都は、足を手で摩りながら関所の様子を見る。
関所は、大人数が並んでいて待っていた。
「うわっ!結構並んでいるな。」
勇都は、受付に向かう重体ぶりに驚いていた。
自分の20人前には、先程遭遇した盾を背負った冒険者も待っていた。
「何とか今日中に出れるといいですね。師匠。」
勇都は、小声でサマエルに向かって呟く。
しかし、サマエルは黙ったままであった。
(どうかしましたか。師匠?)
再び勇都は、サマエルに呼び掛ける。
(ん、ああ、い、いや何でもない。)
サマエルの返事はぎこちなかった。
それから、2時間半経過した。
受付は、中々進まなかった。
勇都の前には後5人居た。
時刻は、午後の16時頃になっていた。
関所の時間を知らせる鐘の合図があった。
勇都は、自分の番が来るまでしばらく待つしかなかった…




