第2話 職業の足枷
勇都は、ダークエルフの受付の女性、フォリーナに溜息を吐かれた。
「あんたに紹介したい依頼はあるにはあるけどさ、ただパーティー組むのが大半なんだよね…」
フォリーナは、困った様な顔で勇都を見る。
「う…」
勇都は、言葉を失った。
職業:アサシン。
暗殺者である。
闇の生業を基本とする職業。
人の暗殺や血生臭いミッションが多い。
盗賊の職業の冒険者は、トラップ解除や警戒活動等で重宝され引く手あまた。
しかし、アサシンは、はっきり言って不人気だ。
勇都は、事故で異世界に飛ばされて目覚めた場所は教会だった。
教会で勇都は、神父に衣服や世界の詳細等を聞く。
この世界では、見知らぬ者が良くやってくると言う。
神父から様々な事を聞き、自分のステータスを確認できると言う。
開いてみると、レベル1、アサシンとなっていた。
勇都は、愕然としていた。
【オガタユウト】 :LV1
職業:アサシン
体力:15
魔力:6
攻撃力:21
防御力:14
素早さ:28
器用さ:19
《特殊能力》
気配隠蔽
無音
昔、TVゲームのロールプレイングゲームで遊んだ時の様なキャラクターのステータス。
特殊能力の気配隠蔽や無音。
使い方が良くわからなかった。
着替えを渡され、教会からとっとと追い出された勇都。
それから勇都は、この2か月手探りで生きてきた。
職業を聞かれ、ギルドでは役に立たないと敬遠される。
また誘われたとしても、人殺しの請負等を頼まれたりもした。
流石にそれは断ってきた勇都。
職業を隠して、皿洗いや雑用をする生計を立てて過ごしていた。
冒険らしいことは全くできていない。
レベルは1のままだった…
自分が異世界に来たことはイレギュラーだった。
が、今、ここで生きている以上は何とかしていかなければいけない。
居住する場所もなく、宿屋を渡り歩いている勇都にとって今必要な物があった。
それは、ズバリ、お金!!
もう所持金も残りわずかとなっていた。
先日、酒場で働いていたが、別の要領の良い人を雇い解雇となってしまった。
勇都は、生きていく術を身に付け稼ぐには、冒険に身を投じるしかないと考えた。
毎日のようにギルドに通い詰めていた勇都。
だが、中々望むクエスト等ない。
あったとしても、職業・アサシンが邪魔をする。
勇都の顔色が次第に暗くなっていくのであった…