第2話 勇都と巨大亀…
勇都の前にゆっくりと巨大な影が近づいてきた。
それは、土色をした巨大な亀だった。
「来よったな。アンダートータスよ…」
魔剣グランベリーに変化したサマエルが亀を見て言う。
アンダートータス。
名称はサマエルが勝手に名付けた。
サマエルが天界からこのダンジョンに封印された時からこの亀は居た。
海から彷徨ってやって来たのか、何故ここに居るのか誰もわからない…
サマエルは、祭壇の部屋に封印されていた。
その間、完全に意識がないわけではなかった。
その時は、とても小さな緑の弱そうな亀だった。
動きもゆっくりで大人しい亀。
今、勇都とサマエルが居るエリアにずっといた。
が、その場所には本来様々なモンスターが居た。
冒険者も知らないこの階層。
ひしめき合うモンスター達。
どのモンスター達も強かった。
やがてモンスター達は、互いに縄張り争いや殺し合いを始めた。
当然、アンダートータスも他のモンスターに攻撃をされ狙われていた。
しかし、この亀はモンスターを倒していき捕食を始める。
生息している植物までも食べるようになった。
やがて、全てのモンスターを倒したアンダートータス。
アンダートータスは、この階の主となった。
それ以来、ずっとそこに生息していた。
もし、アンダートータスが祭壇の奥にいた白蛇と戦ったとしたら、どちらが勝利をしていたのだろうか?
様々な物を喰らい、甲羅の上に植物を生やすまでになっていた。
藁のような柔らかい草。
この草のお陰で勇都は、落下しても死なずに済んだ。
勇都は、アンダートータスの存在をサマエルに教えられていた。
1か月前、勇都はアンダートータスに戦いを挑んだ。
理由は、アンダートータスの足の爪先や身体の中に毒があったから確保したかったからであった。
その時は、ゆっくりと背後から周りグランベリーで後ろ足を突いた。
すると叫ぶアンダートータス。
同時に、アンダートータスは甲羅の中に身を隠した。
頭や足も引っ込めてダメージを与えられない。
出てくるチャンスを待っていた。
けれどその時はやってこない。
長期戦を覚悟した勇都。
3時間待ったが、サマエルに止められ諦めて引き上げたのだった。
白蛇よりも2倍近くある巨体のアンダートータス。
眼は年老いたのか真っ白であった。
見えているかどうかもわからない。
でも、ここにいたモンスターを倒してきたので油断ならない。
勇都は、自分のステータスを開いてみる。
【オガタ ユウト】:レベル13
【職業】:アサシン
【ギルドランク】黒等級
体力:35(+14)
魔力:15(+10)
攻撃力:44(+27)
防御力:25(+9)
素早さ:63(+11)
器用さ:27(+9)
運:110(+5)
<特殊能力>
・気配隠蔽
・無音
・毒無効
・毒耐性
・毒回復
・武器毒補正
・毒女神の加護
・毒操作
(大丈夫だ。この2か月で強くなった。勇都、自分を信じろ。アンダートータスに勝つ!!)
勇都は、アンダートータスに向かって歩く。
「気配隠蔽!!」
勇都の体に電流が走る。
気配隠蔽で完全に姿を消した勇都。
アンダートータスからゆっくりと後ろに距離を取り下がっていく。
カバンの中から何かを勇都は取り出していた…




