第21話 サマエルの宣告…
昼下がりの街中のカフェ…
1人の女性がテーブルで食事をしていた。
「うむ。うむ。勇都よ。美味いぞ!このケーキは絶品じゃ!!」
テーブルに並べられた大量のケーキをサマエルが食べていた。
勇都とサマエルは、ベルムダンジョンから脱出した。
森の茂みの転送陣から無事地上に出られた。
その後、虎の牙に向かい、受付のフォリーナの所に行った。
フォリーナは、勇都が大量の薬草を摂取してきた事。
そして、勇都がレベルが上がっていたことに驚いていた。
薬草を結構いい値段で換金でき、しばらくは何とか生活できる資金を獲得できた。
勇都は、サマエルに協力してもらった事に感謝した。
サマエルは、女性ものの服と地上の美味しい甘いものを食べたいと勇都に要求してきた。
天界は、あまり美味しい食べ物が無かったらしい…
まずは、衣料品店に向かいワンピースを買った。
青のワンピースが痛く気に入り購入した。
早速、サマエルは魔剣グランベリーから変化し着替えた。
その後、街中の一番おいしいと言われるケーキを出すカフェに到着。現在に至る。
目を輝かせて、ケーキを食べていく。
カフェにいた周りのお客達も驚いていた。
サマエルの食欲に勇都は少し引いていた。
「ふうっ。食った食った。勇都よ。ご馳走様じゃ。」
サマエルは、ケーキを全て完食していた。
「ところで勇都よ。これからお主は一体どうするつもりじゃ。何か目的があるのか?」
サマエルは、勇都に質問をしてきた。
「え?!あのと、特に今の所は考えてませんでした。とりあえず食べて眠れる場所を確保できるようにギルドのミッションで稼げればいいかなと…」
するとサマエルは、突然テーブルを両手で叩いた。
「はぁー?!お主、そんな事しか考えておらんのか!そんな事では生きていけないぞ!!」
サマエルは、勇都を叱責する。
「い、いや。し、師匠。この世界で生きていくにはお金が必要なんですよ。生きていくには大事なことなんですよ。」
勇都は、サマエルに弁明する。
「そんな事はわかっておる。ただ、お主はこのままでは駄目だ。強くなれねば駄目だ。もっと厳しい環境で己を鍛えて行かねばならない。わしとお主はもう一心同体じゃぞ。」
勇都は、言葉の意味が少し理解できなかった。
今回のベルムダンジョン潜入で死ぬ思いをした。
冒険やミッションを続けていく上で強くなる必要性は理解していた。
しかし、一心同体という部分はよくわからなかった。
サマエルは、じっと勇都を見る。
「ふむ。勇都よ、右の手の甲を出せ。」
サマエルは、勇都に右手を出させる。
「むんっ!」
サマエルは、人差し指で勇都の手の甲をなぞる。
「え、なんだこれ?!」
勇都の手の甲に紫色の丸い円が浮かび上がる。
その中には見たことのない文字や絵があった。
「師匠。これなんですか?」
勇都の質問にサマエルは答える。
「これはな。お前とわしの契約じゃ。わしはグランベリーとなりお前と戦った。神々の武器は、人間には簡単には使えない。ただし、契約すれば話は別じゃ。わしは、お前と出会った時に契約した。だからわしを武器として使えるのだよ。」
勇都は戸惑っていた。
「え、契約なんて聞いてませんよ。師匠。」
「当り前じゃ。あの時は、地上に出るためにわしが勝手に契約手続きしたのだ。契約したからには、わしの言う事しっかり聞いてやることをせねば大変じゃ。」
サマエルは、焦る勇都に笑みを見せる。
「因みに言っておこう。お前が死ねば、わしも死んで消滅する。わしも消滅すればお前も死ぬ。そういう契約をしたのだから。」
「えーっ!!!」
勇都は、サマエルの発言に驚きその場で叫ぶのだった…




