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異世界で《毒使いアサシン》となり、冒険して生きます  作者: 金城凄
第7章 インゲン国の白虎  -White tiger in the country of green beans-
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第50話 天守閣の秘密…

白き鎧を装着したユキヒロとネロは、天守閣へと登っていった。


「う…あ…ま、待って…」


サスケは、立ち上がり真上を見上げる。


ユキヒロとネロは、平然と城の屋根を駆けあがり天守閣へと向かって行った。


一方、勇都達は、上空から襲い掛かってくるガーゴイル達に抵抗していた。


「やあっ!」


勇都は、ガーゴイルを魔剣グランベリーと影切の二刀で斬り裂いた。


「畜生!まだ減らない。しつこいぜ。鳥野郎共がっ!!」


ジミーは、大鎌を振りガーゴイルの頭を真っ二つに割る。


「ユキヒロ様も追いかけなくてはいけないが、この鳥の怪物や蕾の妖を止めなければならないでござる。」


ハザンは、ガーゴイルを倒しながらも赤い蕾の根元を斬撃していた。


しかし、根の表面は固く、大した傷は付いていなかった。


「ハザン殿。炎筒はいざという時に使いましょう。」


アミナは、ハザンの近くに寄ってくるガーゴイルを倒していた。


息が上がり呼吸が荒くなっていた。


「仕方ない。あれを使うか…」


フューリーは、背中に背負っていた袋から何かを取り出し始めた。


「お、親方。ま、まさかあれを使うんじゃ…」


ジミーは、フューリーの近くにやって来た。


「ああ。緊急事態だ。このままじゃ俺達も全滅だ。この国も危ない。商売相手が減るのは、俺としてもトルネオ商会にとっても不利益だ。体張って何とかしないとな。ジミー、準備出来るまで守ってくれ。」


フューリーは、何かを組み立て始める。


「了解です。親方!!」


ジミーは、大鎌を構え直しヒューリーの背中を守る様に体勢を整える。


「ユウト!お前は、あの赤い蕾の奴何とかしろよ。お前の毒が意外と効くんじゃねえか?!」


ジミーは、勇都に向かって言う。


「やってみる。効くかどうかはわからないけど。」


「あの蕾の動き止めれば城の上に行けるんじゃないか?!」


ヒューリーは、片手で鉄の棒を組み立て、もう片方で火を点けていた。


勇都は、赤い蕾のモンスターを見上げる。


蕾はまだ開いていない。


少しずつだが小刻みに動いている。


蕾の高さが天守閣の高さと一緒だった。


「この蕾を何とかよじ登って飛べば天守閣に入れるかも…。まずは、こいつの動きを止めないと。」


勇都は、グランベリーの柄に玉を入れた。


「勇都。ユキヒロとあの風を使う奴を倒すぞ。」


グランベリーに姿を変えたサマエルが勇都に呼び掛けた。


「はい。師匠。」


勇都は、左手に持った影切を前に突き出して、右手に持ったグランベリーを腰につける。


「勇都殿。我々が援護します。貴方を必ず守る。」


アミナが刀を八相に構えて勇都の近くに来た。


「お願いします。じゃあ、行きます!!」


勇都は、赤い蕾の根元に向かって走った。


そして、勇都は、大きくジャンプした。


影切で根を突き刺す。


プシュッ


暗い緑色の液体が噴き出す。


影切の刃の先が少し突き刺さった。


勇都の右手に持つ魔剣グランベリーが紫色の炎を上げていた。


少し長く燃え上がる炎を影切の刃の先に突き刺す。


「ポイズンショット!!!」


グランベリーが赤い蕾の根の傷に突き刺さった。


「はあああああっ!!!」


勇都の両手が紫色に染まる。


「強力な毒を入れてやれば、きっと蕾は停止するはずじゃ。直ぐに効くかどうかはわからんが登りながら繰り返せ!」


勇都は、根を登りながら影切で突き刺す。


ガーゴイル達が勇都に向かってくる。


「はっ!」


「えいっ!」


ハザンとアミナが飛び上がりガーゴイルに斬撃を喰らわせる。


「ポイズンショット!!」


勇都は、再びグランベリーを突き刺した。


勇都達が奮戦する最中、ユキヒロとネロは城の天守閣に到達した。


「着いた…。ようやく着いた。だが、我の力では入れぬ。」


天守閣の周りに見えない何かが塞いでいた。


「ここだけは、以前から入れなかった。強烈な結界がある。」


ネロは、天守閣の戸を開けようと手を出す。


バチッ


ネロの掌が黒く焼けていた。


「ぬ…。スケナオが施した忌々しき結界め。しかし、今日でそれも解ける。ユキヒロ、出番だ!」


ネロは、笑いながら後ろを振り向く。


そこには、白き鎧に身を纏ったユキヒロが居た。


「あ…あ・あ。ま…任せてくれ…。」


ユキヒロは、胸の前で両手を重ねる。


「ふ、ふ…。ふはっ!」


ユキヒロは、両手を戸に触れさせる。


何か金属が擦れるような音が辺りに響いた。


ネロは、戸に手を掛ける。


「結界が解けたな。遂にこの時が来た。待っていたぞ。ククククク…」


ネロは、歪んだ笑顔を浮かべて戸を開けた。


「お・お・お…」


ユキヒロが目を丸くして驚いていた。


そこには、金色の大玉の様な丸い球が真ん中に設置してあった。


壁には、掛け軸があった。


そこには何かが書いてあった。


ネロは、それをじっと見つめる。


「これだ。これ。私が求めていたのは。この球を動かしてこの城の地に眠る物を出す。あれを手に入れて魔王様に献上するのだよ。」


球の中心には、二つの穴があった。


「さあ、ユキヒロよ。あれに両手を差し込め。そうすれば地下にある物が姿を現すはずだ。」


ネロは、ユキヒロに指示をした。


「あ…う…あ…」


両手を穴に入れようとするユキヒロ。


〈ユキヒロ。止めるのだ!あの魔物の言う事を聞いては駄目だ。目を覚ませ!!〉


白い鎧に姿を変えた白虎はユキヒロに何度も呼び掛ける。


しかし、ユキヒロには届かなかった。


「あ…あはは…」


ユキヒロは、穴に両手を肘の辺りまで入れた。


「遂に魔王軍の悲願が叶う日がやってくるぞ…」


ネロは、高らかに笑うのだった…



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