第44話 勇都達、城へ向かう…
「おらっ!!!」
ジミーの大鎌がガーゴイルの体を斬り裂いた。
ガーゴイルの体が砂の様に消え去って行く。
しかし、上空にはガーゴイル達が更に増え飛び回っていた。
「城、どうなっているんだろ~。父上や兄上達は無事かな?」
サスケは、遥向こうにそびえ立つ城を見ていた。
城に行くまでに次々と増えていくガーゴイル達。
ハザンやアミナもガーゴイルを斬り倒していた。
「倒しても減るどころか増えているでござる。」
「インゲンの国の人達も私達が守らないと…」
屋根の上にあった石のガーゴイル像が実体化していき上空に飛んでいく。
「大輪断!!」
イズモは、組み立てた巨大な手裏剣をガーゴイルの群れに投げつける。
手裏剣は、ガーゴイル数体に当たりイズモの手元に戻ってきた。
手裏剣に当たったガーゴイル達は、叫び声を上げて落下し、地面に触れる前に消滅していく。
「倒しても終わりが見えませぬ…」
イズモは、再び巨大な手裏剣を構える。
「よし。僕のポイズンウィップで…」
勇都は、サマエルが姿を変えた魔剣グランベリーの柄を力強く握る。
刀身が紫色に光る。
(おい!勇都。無茶はするな。お前は、草の一族の根城で毒の暴走をしたではないか。まだ完全に毒のコントロールができたわけではない!!命の危険があるのじゃぞ。)
サマエルが勇都に攻撃するのを止めさせる。
「で、でも師匠。あのガーゴイル達を何とかしないと城に行けません。」
勇都は、困惑した顔をしていた。
すると何処からかガーゴイルに向かって何かが投げつけられた。
白い何かが1体のガーゴイルに直撃する。
「ギェエエレレエエエエエ!!!!!」
ガーゴイルは、上空で消滅した。
「な、何が起きた?!」
フューリーは、何かが飛んできた方向を見る。
そこには、ミネルヴァがいた。
「先輩!お待たせしました。」
ミネルヴァは、サマエルが変身したグランベリーを見て笑顔を見せる。
(ミネルヴァ。ガーゴイルを倒したのはお前か?)
サマエルは、ミネルヴァに呼び掛けた。
「はい。私が倒しました。天界から持ってきた聖なる塩を使って。地上に来て沢山作ったんですよ。」
ミネルヴァの背後で、次々と丸くて白い塩の塊がガーゴイルに投げつけられていく。
それは、ガーゴイルに直撃する。
当たったガーゴイルは、醜悪な姿を失って消えて行った。
投げつけたのはミロクだった。
担いでいた袋から塩の塊を握り準備していた。
「この塩は、邪悪な弱いモンスターをこの世から消滅させることができます。ガーゴイル程の弱小モンスターを倒す事は容易いです。」
ミネルヴァは、ドヤ顔を勇都達に見せていた。
「…やはり、塊だけ投げつけても倒した気がせぬ。俺はやはりこれで行く。」
ミロクは、巨大な鉈の様な武器を片手で持つ。
「うおおおおおおっ!!!」
ガーゴイルの大群に向かって走って行く。
ガーゴイル数匹は、ミロクに向かって急降下していく。
鋭き爪がミロクに向けられる。
ミロクは、ガーゴイルを薙ぎ払い吹き飛ばしていく。
「先輩。ここは、私達に任せて城へ行ってください。」
ミネルヴァは、サマエル達に城に向かうように促す。
「そうでござる。ここは我々が何とかします。この国を守る為にも。」
ハザンの刀から炎が燃え上がった。
「この国が滅ぶと商売も上がったりだ。少しは貢献しよう。」
「流石親方です!」
フューリーとジミーは、武器を構える。
「サスケ様、ユウト殿と共に城に行ってください。近づく魔物達は撃退します。将スケナオ様、ユキヒロ様の所へ着くことが大事です。」
アミナは、サスケに向かって言った。
「僕、近道知っている。ユウトさん、付いて来てよ。」
サスケは、城に向かって小走りを始めた。
(よし。勇都、行くぞ。サスケに従え。)
勇都は、黙って頷く。
そして、ジミー達に向かって言う。
「皆、後は頼みます。死なないで。」
勇都は、振り返り駆け出して行った。
「おう!誰が死ぬかよ。俺はお前と違い丈夫なんだぜ。」
ジミーは、勇都達に向かうガーゴイルに向かってジャンプする。
「行かせねえよ!!!」
ジミーは、その場で体を回転させ全身の力を使って大鎌でガーゴイルを切り捨てた。
「先輩…後から必ず追いかけますね。」
ミネルヴァは、走る勇都達を見送って呟いた…




