第37話 バラキの許可、勇都の回復…
バラキは、立ち上がりサマエル達を見る。
そして、ゆっくりと息を吐き出した。
「…サスケ、ミネルヴァ…、少しの時であればここから離れることを許す…」
バラキは、無表情でサスケとミネルヴァを見ていた。
サマエルは、バラキの目が優しそうに見えていた。
「今までの戦いで、我等もインゲンの国の者達にも多くの犠牲が出た…。長きに渡る年月争ってきた…。歴代の長達は好戦的であった。…我は、違う。我は、この地を民を守りたい。その為に白虎の血を求めてきた…。インゲンの国にも我らのしれぬ何かが起きているやもしれぬ…。それを二人には探ってもらいたいと思う…。これは、草の一族の為にも。このインゲンの国の為にも解決せねばならぬ問題だと我は思う故認める…」
再び椅子に腰を下ろすバラキ。
「ありがとう。バラキ~。父上にも頼んでくるよ~。争わない様に~。白虎の血も少し貰えるように掛け合ってくる。」
「私は、必ずここに戻ってきます。万金丹がある限り。」
サスケとミネルヴァは、バラキに頭を下げた。
「お認めになられたのならば仕方ない。」
ミロクは、渋々と族長であるバラキの決断に従った。
すると上半身に白衣の様な物を着た赤い小さな鬼が小走りに入ってきた。
ミネルヴァの前にやってきて何かを言っていた。
ミネルヴァは、それを黙って聞く。
白衣の小鬼は、話し終えるとバラキに一礼し再び走り去っていった。
ミネルヴァは、サマエルに向かって言った。
「先輩!先輩のお気に入りが回復したそうです。」
「だっ、誰がお気に入りじゃ!!」
サマエルは、ミネルヴァに勇都の事を言われて動揺していた。
‐数分後‐
サマエルは、ミネルヴァに案内されとある部屋へと入っていった。
部屋には、白衣を着た鬼が数匹いた。
先程、ミネルヴァに報告に来た小鬼も居た。
部屋の中央には、勇都が寝ていた。
勇都の全身は、元の色に戻っていた。
寝息を立てていた。
「良かったです。薬も効いて。先輩、呼び掛けても良いですよ。」
ミネルヴァは、ずり下がった眼鏡を直しながらサマエルに言う。
「う…うむ…」
サマエルは、勇都の傍にゆっくりと近づく。
「う、あ、そ、その…お、起きんか勇都よ…」
「先輩。そんな小声じゃ勇都君は起きませんよ。」
「う、わ、わかっておる!」
ミネルヴァに指摘されてサマエルは、再び勇都に呼び掛ける。
「おい。馬鹿弟子。起きろ!!」
サマエルは、少し声を大きくして勇都を呼ぶ。
「う…ん…」
勇都は、反応した。
そして、目をゆっくりと開く。
「あ…、し、師匠…どうしました。あれ?確か僕は、草の一族の場所に向かっていて。それから、どうしたんだっけ?い、痛てて。体中が何か痛い!」
勇都は、目を覚ましたが倒れたことを覚えていなかった。
体に激痛が走り、少し動くと顔を苦痛で歪めていた。
「ちょっと体はまだ痛いはずですが、別の薬も飲めば明日から動けますよ。」
ミネルヴァは、勇都が目覚めて安心して笑っていた。
「ミネルヴァよ。お前のお陰で我が弟子が回復した。本当に感謝しておるぞ。礼を言う。ありがとう…。」
サマエルは、ミネルヴァに頭を下げた。
「いえ。私も先輩が育てた勇都君に興味がありましたから回復してよかった。お役に立てて嬉しいです。」
ミネルヴァは、ニコリと笑った。
しかし、ミネルヴァは、直ぐに真顔に戻った。
「先輩。勇都君は、またこのままでは先輩の毒の影響で暴走し、死に至る危険があります。勇都君とこれからも旅を続けるのであれば毒に対する耐性や訓練をしなければなりませんよ。私が教えてあげましょう。」
ミネルヴァは、サマエルに人差し指を突き出して教えていた。
勇都は、サマエルとミネルヴァのやり取りを静かに見ていた。
「師匠。お知り合いですか?」
勇都は、状況が理解できていなかった…




