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異世界で《毒使いアサシン》となり、冒険して生きます  作者: 金城凄
第7章 インゲン国の白虎  -White tiger in the country of green beans-
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第28話 夜明け前の出発…

 数日が経過した。



夜明け前にカマルの村の裏門に数名の者が居た。



「皆さん、今までの訓練の通りに乗って下さい。」



村の防衛隊長のアミナが白い馬に乗っていた。



その後ろに、勇都、ジミー、ハザン、イズモも馬に乗ろうと準備していた。



「よろしくね。」



勇都は、茶色い馬の頭を撫でる。



「鬼共と一戦戦いたいぜ。」



ジミーは、愛用の大鎌を撫でる。



「ジミー殿、無用な争いは避けるべきです。今回の目的は、あくまで万金丹の確保でござる。」


「わーってるよ。」



ハザンに窘められ、ジミーは少しムッとしていた。



「ジミー殿にはこれから更なる活躍が待っているはず…堪えてくだされ。」



イズモもジミーのご機嫌取りをする。



「む…ま…まあそう言うなら仕方ねえや。」



ジミーは、頭を掻く。



アミナは、勇都達を見て言う。



「草の一族達は、早朝。陽が登る頃に攻め込んできます。来たら、直ぐにここから出発します。止まることなく一族の住む岩山付近で馬から降ります。そして、私の記憶のある場所まで行き万金丹を取る。取った後は、直ぐに岩山から脱出しこの村に戻ってきます。それで良いですね。」



アミナに言われ、勇都達は無言で頷く。



「アミナの姉ちゃんよぉ~。もし、草の一族が俺達に気づいて追ってきたらどうするんだい?」



ジミーは、アミナに質問する。



「ええ。私が皆さんの盾になり鬼達と戦います。例えこの身が滅びようとも…。私が死んでも構わず突き進んでください。それで万金丹が取れれば本望です。」



アミナは笑顔を見せる。



「皆で岩山に着くように頑張りましょう!」



勇都は、拳を突き出して宣言する。



「…ユウト殿の言う通りでござるな。皆で必ず万金丹を取りましょう。」



ハザンは、目を閉じて笑う。



「…ウラー様にも頼まれています。ここで体を張らないと今まで生きてきた意味はない。ユウト殿を全力でお守りしますぞ。皆様も。いざという時には切り札があります。」



イズモは、胸に手を当てて勇都を見る。




「万金丹を取ることは、このインゲンの国を守る事にもなります。聖獣白虎様のお力が無ければ草の一族に滅ぼされるのは必須。この国に生きる民達の為にも…」



アミナが話していた時、1人の兵士が走ってやって来た。



「アミナ様。見張り台から草の一族の大群が見えてきました。」



1人の兵士が青ざめた表情でアミナに近づく。




「ご苦労。して数は如何ほどだ。」




兵士は、ゴクリと唾を飲む。



「いつもと同じ1000匹の鬼達です。」



「せ、1000?!」



ジミーが目を丸くして驚いていた。



「あ、アミナの姉ちゃん。あんた達毎回そんな数の鬼達と戦っているのかい?こんな小さな村で。」



ジミーが、アミナに聞いてきた。




「ええ。そうですよ。」



「………」



ジミーは何も発しなかった。




勇都の腰の魔剣グランベリーが微かに紫色に光る。




(勇都よ。そろそろ馬に乗れ。いつでも出発できるようにせよ。)




グランベリーに変化したサマエルが勇都に呼び掛ける。




「はい。」




勇都は、馬に乗った。




「村に近づいて攻めてきたら私が合図します。そうしたら出発しましょう!」




アミナが裏門の先頭になった。



勇都達は、馬に乗りその後に続いて待機した。



次第に、大きな叫び声が聞こえてきた。




「遂にやってきましたか。」




ハザンが日本刀の柄を無意識に握る。




ドン



カマルの村の重たい表の門に大きな音がした。



勇都達の居る裏門まで何かがぶつかった様な衝撃が走る。




「攻撃始め!」




兵士達の掛け声が響く。




「さあ、今です。行きましょう!」




裏門の閂が抜かれてゆっくり音を立てて扉が開かれた。




勇都達は、アミナに続いて馬を走らせ門を出て行った。



門を出ていくと朝日が見えた。



光が勇都達を照らしていた…。

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