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異世界で《毒使いアサシン》となり、冒険して生きます  作者: 金城凄
第7章 インゲン国の白虎  -White tiger in the country of green beans-
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第27話 叫び声…

 インゲンの国の将スケナオの住む城では、今日も役人達が忙しそうに働いていた。



蔵に荷物を運ぶ2人の役人が居た。



「いよぉ~し。少し休憩しようじゃないかサモン。」



額から流れる汗を手拭いて吹く男が蔵の階段に腰かける。



「わかったぜジュウゾウ。ああ。腰が痛いぜ。疲れた~。」



サモンは、水筒の水を飲む。



サモンは、ふと耳を澄ます。



「…おい、ジュウゾウ。お前、最近城の何処かで誰かが叫ぶ声がしないか…」



サモンは、ジュウゾウの隣に座る。



「…ああ。何か最近そんな噂話があるな。本当かどうかはわからないが。」



ジュウゾウは、煙管に煙草の葉を詰めて火を点けて吸いだした。



「…最近、草の一族も攻めてくることが多くなった。一体この国に何が起きているんだろうな?」



ジュウゾウは、煙草の煙を口から吐き出す。



サモンは、黙って耳を更に澄ましていた。



「どうした?!サモン。」



ジュウゾウは、サモンの顔を見る。



「…俺は耳が良いんだ…やはり叫び声がする。城の方から聞こえる…。この声は何処かで聞き覚えが…」



ジュウゾウは、人差し指を口に付けてサモンを見る。



「しっ!サモン、確実でない事を話してはならない。それに誰が聞いているかわからないぞ。」



ジュウゾウは、サモンを戒める。



「わっ、わかった…言わないよ。」



サモンは、水筒の水を更に飲む。




(確かに言わぬが仏だ。それでも、あの声は、確か…)



サモンは、顔を振って再び荷物を運ぶ準備をしようとしていた。




城の何処かの一室に2人の男が居た。




「あああ、ああ…。頼む…ど、どうにかなってしまいそうだ…く、薬を、私に…く、薬を!!」




男は、畳に這いつくばって自分を見下ろしている1人の男に手を伸ばそうとする。




「この前やったばかりじゃありませんか。もっと欲しいのですか?!強欲な方だ。この異国の薬品は簡単には手に入りませんぞ。」



男は、扇子で仰ぎながら笑う。




「…も、もっと。もっとだ。あれが無いと生きていけない。欲しい…欲しい…」



男は、体を震わせて蹲る。




「…薬をお渡しするにはそれなりの金子相当の物を用意して頂かなければなりませぬな。貴方には、今以上のものをご用意できますやろか~。」



男の扇子がピタリと止まる。



「…貴方様には…この国を治める事が出来ますか…それが出来ればもっとお薬たんまりやりますわ~。」



蹲っていた男は、顔を上げる。



「ああ。ああ…やる…やるよ。薬貰えるんだったら何でもやる…」




男は、扇子を持った鳥帽子を被った男の膝に縋りつく。



鳥帽子の男は、冷たい眼差しで男を見下ろす。



「では、これから私の言う通りに色々とやってもらいましょか?!」




鳥帽子の男は、ニヤリと笑った。



笑った口元から鋭い牙が生えていた…




その頃、城の天守閣で外の景色を見ていた男が居た。



それは、将のスケナオであった。



スケナオの後ろには、黒い着物を着た役人の男が2人膝を着いて待機していた。




スケナオの表情は、険しく固まっていた。



「で、その報告は間違いないか。」




スケナオは、黒い着物の男達に聞く。




「ここ数か月、調査をしましたが間違いございません。」



「行方不明になった者もおります。信じられない事ですが…」



スケナオは、目を細めて外の景色を見る。




「…これは、一大事じゃ。この国が、民が滅ぶ…」




スケナオの両手が力強く握り拳を作っていた。




その手は、赤くなり震えていた。



黒い着物の役人達は、それを見て言葉を発することが出来なかった…

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