第24話 カマルの村…
勇都達は、黄鬼達を退けて歩いていた。
「そろそろ見えてきます。カマルの村が。」
ハザンが、勇都達に言う。
「周りには特に何もいませんな。」
イズモは、周囲にモンスターが居ないか確認していた。
「少し腹が減ってきたぜ。速く何かが食べたいな。」
ジミーは、腹を摩りながら歩いて行く。
「あっ、何か門が見えてきた。」
勇都は、先の方に頑丈そうな門を見つける。
周りには、柵やインゲンの国の役人達が武器を持ち見回りをしていた。
鎧や刀や槍等を装備していた。
「ユウト殿。あれがカマルの村です。」
ハザンが勇都に教える。
勇都の腰に差さっている魔剣グランベリーが紫色に輝く。
(…あの村には、居ないな…)
魔剣グランベリーに変化したサマエルが呟いた。
カマルの村の門の方から2人の鎧を着た役人達が走ってきた。
「おお、ハザン様ではないですか。どうされました。」
1人の槍を持った役人の男がハザンを知っていた。
ハザンは、カマルの村に来た理由を簡単に話す。
「…そうでしたか。それでは中にお入りください。」
役人の男に案内され勇都達は従う。
勇都は、門に近づくと強固な堀や壁で覆われていることを知った。
「何か頑丈そうな造りの村ですね。」
勇都は、ハザンに話す。
「ここは、インゲンの国も防衛に力を入れている村です。ここで取れる米や野菜は国に運ばれます。
水質も良く高値で取引されてます。以前は、このカマルの村以外にも数か所村がありましたが、草の一族の襲撃や作物も育たずに無くなりました。」
ハザンは、淡々と勇都に語る。
「開門!開門せよ!!」
役人が閉じた門に向かって大声で叫ぶ。
すると、門の扉が音を立てて開く。
門の中が見えてくる。
「おおっ。結構広いじゃねえか。」
ジミーは、目の前の光景に驚いていた。
勇都達は、村と言われていたので簡単な家や畑等が広がっているかと連想していた。
が、インゲンの国よりはもちろん小さいが城下町の様な店や建物があった。
インゲンの国と違ったのは、所々に畑や水車等がある。
村の中に小さな川が流れていた。
人もそれなりにいた。
村人達は、勇都達の姿を見て興味を持っていた。
「久々に人が来た。」
「あれは、異国の冒険者達か?」
村人達は、勇都達の姿を見て小声で囁く。
弓矢を持った鎧を着た役人の1人が口を開く。
「これから、ハザン様達を村の統括をしている村長と防衛隊長の所に案内します。」
勇都達は、役人達に付いて行く。
しばらく真っ直ぐ歩くと村の中で一番大きな屋敷を見つける。
隣には、インゲンの国の紋章が入った陣幕が張られていた。
「おっ、久々のお客人か?」
「ハザン様ではないですか。お久しぶりです。」
2人の男が勇都達に近づいてきた。
1人は、白髪で顎髭を生やした年老いた男だった。
もう1人は、鎧を着た黒髪の女性だった。
「ユウト殿、ジミー殿、イズモ殿。紹介します。こちらは、カマルの村の村長であるナスカ様。こちらの女性は、村を守る防衛隊長アミナ様です。」
ナスカとアミナは、勇都達に笑顔を見せる。
「ようこそ。カマルの村へ!」




