第17話 毒の女神と聖獣…
勇都達は、ユキヒロと別れ門の所に行く。
準備をして、万金丹を取りに行こうとフューリー達と案を練ろうとしていた。
城を出ると、白虎が居た。
白虎は、寝息を立てて蹲っていた。
「聖獣様が呑気に寝てらぁ~。」
ジミーが、白虎を見て言う。
すると、白虎の瞼がヒクヒクと動く。
白虎の眼が静かに開く。
『冒険者達よ…。スケナオらから話は聞いたか?』
低く威圧感のある声が勇都達の全身に響く。
「ああ聞いたよ。聖獣様。こちらも将スケナオに商売を認めてもらったので万金丹を探しに行くよ。」
フューリーは、上機嫌で白虎に向かって言う。
『そうか…それは、ありがたい。…我もここ数年、原因不明の苦しさがこの体の中で続いておる。この地に降りてきてスケナオの一族と契約をしている。その契約はわが身に変えても果たさねばならぬ…。よろしく頼むぞ…』
白虎は、勇都の顔を見る。
白虎は、じっと黙って見ていた。
「え…あ、あの何か…」
勇都は、白虎に聞く。
『ユウトと言ったか。お前には期待しているぞ。』
白虎は、優しそうな眼差しで勇都を見る。
勇都の腰に差さったサマエルが変身した魔剣グランベリーが光る。
「白虎、わしを覚えておるか?」
サマエルは、勇都達に聞こえない様に白虎に話しかける。
『覚えておるぞ。天界に確かいたな…毒の女神だったか?』
白虎も勇都達には聞こえぬ会話をサマエルと始める。
「そうじゃ。わしは、この弟子のお陰で数か月前に目覚めたばかりじゃ。天界戦争に敗れ地に落とされた何も出来ぬ神…いや、もう神とは呼べぬな…」
サマエルは、自虐的に笑う。
『お前達の戦いぶりを見ていた…。お前の弟子は中々強いではないか…。毒を使った技は、お前にしか出来ぬ芸当。力のある神だ…』
白虎は、目を細めてグランベリーを見る。
「白虎よ。少し話をせぬか。」
サマエルは、白虎に提案をする。
『ふむ…。良いではないか。我もお主と話をしたいと思っていた。少し待て…』
白虎は、立ち上がる。
白虎は、空に向かって軽く吠える。
すると、勇都達が固まったまま動かなくなった。
「白虎よ。これは一体…」
サマエルは、白虎に聞く。
『毒の女神よ。今、この場の時を止めた。この者達は、我の一吠えでまた元に戻る。それまで色々と話そうではないか…」
白虎は、再び体を地に伏せる。
「流石は聖獣よのう。時を止められるとは。体は大丈夫なのか?」
『うむ。このくらいの事なら造作もない。さあ語ろうか毒の女神よ。」
白虎は、話を始めようとした。
「あ、待て。わしの事はサマエルで良い。」
サマエルは、白虎をじっと見て言う。
「堅苦しいのは嫌いじゃ。気楽に呼んでくれ。」
サマエルは、白虎に向かって笑う。
サマエルの笑顔を見る白虎。
『ふ…ふふ。面白い。承知した。では、サマエルよ。話を始めよう。」
サマエルと白虎は、話始めた。
地上に落ちた者達の話は、楽しそうな表情を浮かべていた…




