第15話 スケナオの願い…
スケナオは、じっと勇都の顔を見る。
「ユウトよ。先日、草の一族が攻めてきた時、我が倅ユキヒロが白虎の力を使ったのを見ただろう。わが国には、以前から白虎が住んでおり城やインゲンの国を護っている。白虎の力を身に纏い、防具や武具に変化し身に着け、その力を使い脅威を退けてきた。我よりもずっと前の先代の将達の時代から居る。近くの神社や民達も白虎を崇めておる。」
スケナオは、台座から歩き勇都達の前に出る。
「以前は、草の一族も全く城下町にも攻め込んでくることは無かった。それは、白虎の力が強大で恐ろしさを知っていたからだ。しかし、数年前から事態が変わった。急に草の一族が進行してきた。どうやら白虎の力が弱まったことがきっかけなのだよ。」
(白虎の力が弱まっただと?!)
勇都の腰に差さる魔剣グランベリーが紫色に一瞬光る。
魔剣グランベリーに姿を変えたサマエルがスケナオの発言に疑問を抱いていた。
(白虎は、天界から下りてきた四大聖獣。聖獣の寿命は5万年程と聞かされてきた。地上に落ちて数百年だとしても力が弱まるはず等ないはずだ。何故?)
サマエルは、白虎の弱体化を不思議に感じていた。
「丁度、我の次の将として倅のユキヒロとサスケには、白虎の力を受け継ぐ契約をさせた。その頃から草の一族らが暴れはじめたのだ。」
スケナオは、深いため息を吐く。
「我も若き時は、父上から引き継いで白虎の力を使い草の一族達を倒したこともある。スケナオが今は主に草の一族と戦う為に利用している。だが、白虎の力が使える時間が次第に少なくなってきているのだ。10分も持てば良い。昔は、もっと長い時間力が発揮できた。終わったら疲労感はかなり堪えたなぁ。」
スケナオは、苦笑いを見せる。
「草の一族は、何かと白虎の力。特に血を求めているという。血を得て何をしようとしているかはわからない。が、我々もそれを黙って見過ごすわけにはいかんのだ。この国と民を護る為にも白虎の力は必要だ。とても生身の肉体では、家臣達はまともに戦う事もできない。ユウト達の様に常日頃鍛えている冒険者は別だが…。」
「いや、別にそんなに鍛えているわけでは。」
勇都は、謙遜してスケナオに言う。
「そこでだ。白虎の力を回復する為にだ。お主の草の一族と渡り合った力を見込んで頼みたい。この城の外には、広大な草原や大地が広がる。その何処かにどんな病気も治せるという言い伝えのある万能薬にもなる薬草が咲いている。万金丹と我々は呼んでいる。ユウトよ。万金丹を探してきてはくれまいか?もちろんただとは言わぬ。報酬も様々な物も手配させる。」
スケナオは、勇都の手を握ってきた。
「え、あ、スケナオ様。」
勇都は、スケナオの行動に戸惑っていた。
「本当は、我らが探さなければならない。何度も試みたが、草の一族に倒されたり邪魔をされたり見つけられなかった。それにいつ草の一族の襲来がやってくるのかわからない。常に備えなければならないのだ。この国を荒らされぬ為にも。どうじゃ。考えてはくれまいか?」
スケナオは、勇都の手を更に力強く握る。
「大体の場所とかはわからないんですか?」
勇都は、スケナオに質問する。
すると話を静かに聞いていたユキヒロが口を開く。
「最近の調査で、咲いて居る場所がわかったそうだ。そこを目指していけば見つかると思う。」
スケナオがユキヒロを見る。
「ユキヒロ。それは、サスケから聞いたのか?」
スケナオがユキヒロをじっと見る。
「はい。我が弟から確かに聞きました。報告が遅くなりましたが…」
「…………」
スケナオは、ユキヒロの話を聞き黙っていた。
「あの、サスケさんは、ユキヒロさんの弟さんなんですよね。万金丹の話を聞いてみたいです。」
ユキヒロは、勇都の方を振り向いて答える。
「今、サスケは、この城にはいないんだ。この1か月戻ってきていないんだ。」
「え?!」
勇都は、ユキヒロからサスケは居ないと聞き少し驚いていた。
「ユキヒロは、ここを護る為に城の外へと出ることはできない。頼みはお主の様な兵しかおらぬ。我が願いを聞いてくれないか。」
勇都は、しばらく考え込んでしまった…




