第14話 勇都、将スケナオと対面する…
勇都達は、ユキヒロに案内され城に入る。
中では、役人達が忙しそうに動き回っていた。
役人達は、勇都達の姿が珍しいのかじっと見ていた。
「俺達、注目されているじゃねえか!」
ジミーは、嬉しそうな表情をしていた。
階段を上がり、大きな部屋の前に着いた。
「父上、入りますぞ。」
「入れ…」
ユキヒロが、戸を開ける。
勇都達の目の前には、畳が敷かれた大きな広間が広がっていた。
ずっと先に、高台になった座席に座っている男が居た。
男は、痩せて年老いていた。
が、背筋はしゃんとしていて勇都達をじっと見ていた。
その眼光はとても鋭く勇都達を射抜くほどの威圧感があった。
「あれが…将、スケナオ様か…」
フューリーは、スケナオの存在感に圧倒されていた。
勇都も言葉が出なかった。
(流石にこの国を治めるとなる器じゃ。ビリビリと視線がくるのぅ。)
魔剣グランベリーに姿を変えたサマエルは、スケナオを見て素直な感想を呟いていた。
「皆、さあ前に行こう。」
ユキヒロが勇都達を案内し連れて行く。
勇都達は、スケナオ達の前に座らされた。
先程より只ならぬ圧をより強く感じた。
スケナオは、じっと勇都達を見る。
どう見ても60代の老人にしか見えない。
勇都、フューリー、ジミーは、言葉を発することが出来なかった。
体が硬直し動くことも出来なかった。
スケナオは、突然笑顔を見せる。
「お客人達。よう参られた。私がこのインゲンの国を治める将。18代目、スケナオである。」
スケナオは、穏やかな表情で勇都達を見る。
先程と違い、目つきも優しい眼差しになっていた。
「この度は、攻めてきた草の一族をその方達が撃退に一役買ったとユキヒロ達から話は聞いたぞ。本当に礼を言う。ありがとう。」
スケナオは、頭を深く下げる。
勇都達は、一国の将が礼を言い畏まった態度を取ることに驚きを隠せなかった。
「か、顔を上げてください。ぼ、僕達は当たり前の事をしたまでです。」
勇都は、スケナオに慌てて言う。
スケナオは、顔を上げて勇都を見る。
「ふむ。謙虚な武人じゃな。お主の様な者は滅多に見ない。強さと優しさを兼ね備えておる。」
スケナオは、満足そうに頷いた。
それから、広間に茶菓子等が運ばれてきた。
勇都達は、足を崩し座る。
「さっ、楽にせよ。食べながら色々と話を聞かせてくれまいか。」
スケナオは、勇都達を興味深そうに見回す。
勇都達は、インゲンの国に来るまでの経緯を話した。
スケナオは、静かに頷きながら話をずっと聞いていた。
「そうか。ユウト達は苦労を重ねて、縁があってこの国に来たわけじゃな。」
スケナオは、目を瞑り頷く。
「道理で強いわけだ。草の一族にも立ち向かい戦う力がある。我が家臣達に見習わせたいものだ。」
スケナオは、高らかに笑う。
その脇でユキヒロは、静かに話を聞いて座っていた。
「今回の件で非常に助かったぞ。ユウト達に褒美を出したい。そして、この国の将としてお主達に頼みたい事がある。」
スケナオは、笑顔から真顔に変わる。
「将スケナオ様。頼み事とは?」
フューリーがスケナオに質問する。
「うむ。その質問には、ユキヒロが答えようぞ。」
ユキヒロは、勇都達に近づいていった…




