第14話 サマエル、勇都の師匠となる…
サマエルに現在いる階層が地下30階と聞き呆然とする勇都…
「おい、勇都。いつまでそんな状態でおるのだ。地上を目指さぬのか?」
サマエルの言葉で我に返る勇都。
「地上に行きたいです。行きます。生きたい。帰りたいです!」
勇都は、正直な気持ちを明かす。
サマエルは、笑う。
「うむ。いい心意気じゃ。地上に行く方法は、変わってなければわかるかもしれない。教えてあげよう。
しかし、この階層は強いモンスターが居る。お前レベルはどのくらいなのだ?ステータスを見るぞ。」
サマエルは、人差し指で勇都の顔を横一文字に引く。
「む。お前、こんな低レベルなのか?よくここまでこれたな。生きてこれたな…」
サマエルは、勇都のレベルを見て呆れ顔になる。
勇都は、サマエルに低レベルと言われ内心ショックを受けていた。
「このレベル。お前の装備では、モンスターに瞬殺されるぞ。ん、勇都は、アサシンなのか。
スキルは良い能力を持っておるではないか。」
「気配隠蔽しか使ってません。無音はまだ試してないんです。」
勇都のステータスを見て、サマエルは考え込む。
「よし、決めた!勇都よ。わしがお前の師匠となってやるぞ。地上に出れるために力を貸してやろう。」
サマエルは、勇都に力強く宣言する。
「ほ、本当ですか。あ、ありがとうございます。で、でも何でサマエルさん。俺に協力してくれるんですか?」
勇都は、サマエルの申し出は嬉しかった。
神であるサマエルが、自分を助けてくれるのには裏があるなと少し感じていた。
「うむ。何千年もここに封印されていて飽きてきた。閉じ込められて、私自身の力も完全ではない。
回復させたい。それに地上の世界も見たい…」
勇都は、サマエルの表情に嘘偽りがないと感じられた。
⦅そ、それにあれも食べて見たいし…⦆
「何か言いました。サマエルさん?」
サマエルは、呟いた声を勇都に聞かれ顔を赤らめる。
「ばっ、馬鹿者。き、今日から私を師匠と呼べ!!」
サマエルは、勇都に激しく怒った。
「す、すいません。師匠。」
(師匠。うんうん。いい響きだ…)
サマエルは、言葉の響きに感激する。
「よし、勇都よ。地上に向かおう。その前に、お前、持ち物を見せて見ろ。」
サマエルは勇都の持ち物確認を始める。
道具袋から勇都は持ち物を全て出す。
軽い食料。薬草。ダガーを研ぐ石等見ていくサマエル。
サマエルは、ある物に気づく。
(ふむ。これがあるならわしの力も発揮できるな。地上に行けるであろう。)
「よし。勇都よ。これからわしの指示に従え。ちょっと今、変わるから。」
(ん、変わる?)
勇都は、サマエルの言葉の意味がよくわからなかった。
サマエルは、両手をパンと叩く。
部屋の中に音が響く。
するとサマエルの体が紫色に点滅し始める。
そして紫の光がサマエルの体から噴き出していった…




