第7話 草の一族…
勇都は、鯨亭から出る。
すると外には多くの逃げ惑う人々が居た。
町の中では所々煙が上がっていた。
勇都は、音が鳴り響く場所に向かう。
人混みを掻き分けながら勇都は進んで行く。
角を曲がると大きな橋が見えた。
「う…」
勇都は、言葉を失った。
橋の上では、インゲンの国の役人達が何かと戦っていた。
それは、赤い褐色の肌をし、頭に角を2つ生やしていた3体の鬼の様な姿だった。
勇都は、それらがイズモの言っていた草の一族であると理解した。
勇都は、以前、巨人と戦ったことがあったがそれより背は低かった。
が、身長は190cm近くあり、体は相撲取りの様にガッチリと大きかった。
筋肉も盛り上がり、息を荒げ鋭い牙を見せて金棒や槍を振るっていた。
橋の周りをよく見ると赤く染まっていた。
インゲンの国の役人達の死体が無残にも散らばりそれが色を付けていた。
「がはははっ!そこを素直に通らせろ!!」
一匹の鬼が鎖が付いた巨大な鉄球を投げつける。
インゲンの国の役人達は躱すのに精一杯だった。
他の鬼達も武器を振り回して暴れていた。
勇都は、橋の向こうを見る。
そこには、この国を治める将スケナオの住んでいる大きな城が見えた。
「日本の城と一緒じゃないか。」
(おい。勇都。ボーっとしてないで助けてやらんか。町を救ってやらねば。)
魔剣グランベリーに変化したサマエルが勇都を呼ぶ。
「そうでした。じゃあ助けますか!」
勇都は、鬼達に向かって行って走り出していた。
「気配隠蔽!!!」
勇都の体に電流が流れる様に衝撃を受ける。
勇都の体が次第に消えていく。
勇都は、槍を振り回している鬼の背中にグランベリーを突き刺す。
グサッ
「うぎゃっ!!」
赤い鬼は、叫び声を上げてその場に止まる。
「どうした?」
「な、何だ?!」
他の鬼達が気づく。
勇都は、今度は金棒を持った鬼の脇腹を突き刺す。
「痛い!!」
鬼の脇腹から血が出ていた。
「だ、誰だ。何処から攻撃してくる?!」
鉄球を持った鬼は、身を低く屈め鉄球をゆっくりと回転させる。
鬼は辺りを見ながらゆっくりと慎重に動く。
しかし、周りには何も見えなかった。
「臭いがするぞ。人の匂いが…。そこだっ!!」
鬼は、鉄球を右脇に素早く投げつける。
が、鉄球は地に落ちた。
鬼の両脛から血が噴き出す。
「うがああああっ!!」
鬼は、倒れてその場にのたうち回る。
すると倒れた鬼達の前に何かが姿を現す。
それは、グランベリーを構えた勇都だった。
インゲンの国の役人達は、勇都を見て呆然としていた。
「だ、誰だ?!」
役人達は勇都に注目をしていた。
ドスン
勇都は、後ろから大きな音を聞く。
「あ、青鬼が来たぞ…」
赤鬼達よりも一回り大きな鬼がゆっくりと勇都達に向かって歩いてきた。
体には無数の傷があった。
黒い長い髪をして一本の大きな角を額に生やしていた。
金色の眼をしていて鋭い眼光を放っていた。
両肩に鉈の様なものを担いでいた。
「おいおい。えらく苦戦しているじゃねえか。今日こそは白虎の生き血を貰ってやる。」
青い鬼は、ニヤニヤしながら楽しそうに笑っていた…




