第6話 四大聖獣…
「この国の聖獣は何じゃ?!言えぬのかイズモとやら。」
サマエルは、食べた団子の串をイズモに向けて近づいて行く。
「わ、わかりましたサマエル殿。お教えします。大声を控えて…」
イズモは、一息ついて小声で囁くように言う。
「サマエル殿の言われるようにこのインゲンの国には、聖獣がおります。白虎でございます。」
イズモは、聖獣の存在をサマエルに教える。
勇都は、サマエルとイズモの前で手を挙げる。
「あ、あの。すいません。き、聞いていいですか。聖獣って何ですか?」
勇都は、サマエルとイズモの顔を見て質問する。
「え?!ユウト殿は、聖獣をご存じないのですか?」
「何?!勇都。お前、聖獣が何なのかわからないのか?」
サマエルとイズモは、勇都を見て驚きと呆れたような表情をしていた。
「ええ。この世界に来てあまりまだわかってませんので…」
勇都は、頭を掻いていた。
イズモは、咳払いをする。
「ゴホン。ユウト殿がおわかりにならないのでご説明いたしましょうか。」
イズモは、語り始めた。
この異世界には、四大聖獣と呼ばれる存在がある。
遥か昔から存在をしていた。
その聖獣は、強大な力を持ち各地に居た。
聖獣が居る所は、その国を護り、繁栄をさせて、豊かになると言われていた。
インゲンの国には、四大聖獣の白虎が居た。
かつて、インゲンの国から白虎を奪い攻撃してきたとある国があった。
が、白虎がそれを知り怒り狂いその国を攻撃し滅ぼす寸前にまで追い詰めたことがあった。
インゲンの国は、自然の資源も豊富で近年は、独特な文化を保ちながら貿易も潤い発展を遂げていた。
「白虎様は、地を司る神。スケナオ様のお住まいのお城におります。」
「へぇ~。そうなんですか。」
勇都は、イズモに教えられ四大聖獣の存在を理解した。
「イズモさん。他にはどんな聖獣が居るのですか?」
勇都は、イズモに質問をする。
「王都クックには、最強と呼ばれる聖獣、青龍がいます。残りの朱雀と玄武は、様々な場所に動いていて現在何処にいるのかわかりません。特に朱雀の姿を見た者は数十年居ないと聞きます。玄武は、王都クックから離れた海域に居たとの報告があって以来見てないと…」
イズモは、勇都とサマエルを見て言った。
「ふん。聖獣等昔天界に住んでおった。大飯ぐらいで顔を合わせるたびに大喧嘩しておった。天界が吹き飛び滅ぶかと思ったほどの争いばかり飽きずにやっていた。」
サマエルの発言を聞き勇都は少し驚いていた。
「師匠。四大聖獣は、天界に居たんですか?」
勇都は、目を丸くしながらサマエルを見る。
サマエルは、ぶどうのジュースを一気に飲み干した。
「ぷはっ。美味いぞ。…ああ、天界に居たぞ。奴らは、最高神の命で地上を守るために地に下ろされたからな。」
サマエルは、腹を摩りながら勇都に言う。
「師匠は、白虎に会うのが目的なんですね。」
勇都は、サマエルに話す。
「…違うな。残念ながらわしの目的は違う。」
サマエルは、天井を見上げる。
「わしと共にこの世界に落ちたあやつに会いたいのだ…」
その時、外から大きな轟音が響いた。
「来たか!」
イズモは、武器を取り腰に装着をする。
「皆。逃げろ。」
「また奴らが来やがったか!!」
鯨亭に居た店の客達が外の音を聞き、店から騒いで素早く出ていく。
「イズモさん。一体何が起きたんですか?!」
勇都は、イズモに聞く。
「ユウト殿。来たのですよ。この国を狙う外敵。草の一族が…。御免。」
イズモは、姿を消した。
「勇都。わしらも外に出るぞ。」
サマエルは、全身を紫色に光らせて魔剣グランベリーに姿を変える。
「はい!」
勇都は、グランベリーを腰に差して鯨亭から出て行った…




