第9話 青水晶からの連絡…
勇都は、青水晶を取り出す。
それは、以前フューリーから渡されたものだった。
「え、えっと。確か、使い方は…」
勇都は、青水晶に手を触れ数回擦った。
「あー、あー?!おい…、坊や…聞こえるか?俺の声が…」
青水晶からフューリーの顔が少しぼやけて映っていた。
青水晶から聞き取りづらいが声が聞こえてきた。
「聞こえますよ、フューリーさん。」
勇都は、青水晶に映ったフューリーに答える。
「元気…そうだな…。だいぶ予定より遅れて悪かった…少しバタバタしていた…。今船に乗ってそっちへ向かっている…」
フューリーは、トルネオ商会に戻り色々と手続きをしていたと勇都に話す。
「そうですか…。無事に済んで良かったですね。フューリーさんは、後どのくらいでこちらに到着しますか?」
「そうだな…海が荒れてなければ10日後にはインゲンの国に入れるだろう…」
「10日後ですね。わかりました…」
勇都は、フューリーと様々な話をしていった。
「…坊や…じゃあ、10日後にインゲンの国の入口で会おう…じゃあ、切るぞ。」
「はい…では、また。」
青水晶は、輝きを失い、フューリーの顔も声も出なくなっていた。
ウラーとマニーは、勇都とフューリーの青水晶でのやり取りをただ黙って聞いていた。
マニーは、臺から胡桃を取り出して食べているサマエルの所に行く。
「サマエル殿。少しユウト殿をお借りしてよいか?」
マニーは、サマエルに許可を求めていた。
‐数分後‐
勇都は、ウラーの屋敷を出てとある場所へと向かっていた。
マニーに従い付いて行く勇都。
マニーは、詳しい内容は言わなかったが勇都に渡したいものがあると言い案内していた。
サマエルも勇都に行って来いとニヤニヤしながら笑っていた。
着いた場所は、マニーの家だった。
ウラーの屋敷よりは小さかったが、綺麗でなかなかしっかりした造りの家であった。
マニーは、家の隣にある蔵へと勇都を案内する。
小さい蔵の前で立ち止まるマニー。
「ユウト殿よ。少し待っていてくれ。」
マニーは、鍵を取り出す。
蔵の前の錠に鍵を入れ回す。
カチッと音が辺りに響く。
「さあ、入ってくれ。」
マニーは、勇都を蔵へと導く。
マニーと勇都は、蔵の奥へと進んで行く。
すると、掛け軸の前に1つの木箱があった。
「ユウト殿。お主に受け取ってもらいたいものがある。」
マニーは、木箱に手を向ける。
「な、何ですか、この箱?」
勇都は、中身が何か全く見当もつかない。
「開けてみればわかる。」
勇都は、箱の前に行く。
木箱は、金色の紐で縛られていた。
勇都は、紐を解く。
紐を取り、木箱の蓋を開ける。
「こ、これは。」
勇都は、箱の中身を見て驚く。
そこには、サマエルが変化する魔剣グランベリーと同じくらいの長さの短刀があった。
それは、真っ黒だった。
「これは、我が一族に伝わる秘剣”影切”だ。ユウト殿、お主に使って欲しい。そして、それを使って我が弟、マキャーを倒して欲しい。」
「えっ?!」
勇都は、マニーの言葉を聞いて固まっていた…




