第7話 狂った赤き豚…
ミポーは、涙を流しながら咆哮する。
「ああああああっ!!痛い!痛い!!痛い!!!絶対許さない~っ!お前、溶かしてやるブゥ!!」
勇都は、ミポーの喚き具合を見てドン引きしていた。
(コイツ。絶対ヤバイ。速く倒さないと。)
勇都は、気配隠蔽の効果が失われるまで攻撃しダメージを与えることにした。
ミポーに近づく勇都。
サマエルが姿を変えた魔剣グランベリーでミポーの右の二の腕を突き刺す。
皮膚が裂け血が流れる。
「あーっ!何処?見えない!!」
ミポーは、白目になり叫ぶ。
勇都は、ミポーの尻を突き刺す。
「ギャッ!」
勇都は、木に隠れる。
(そろそろ姿が見えちゃう頃だ。呼吸を整えて様子を見よう。)
勇都は、手足を使い木の上に登っていく。
勇都は、何とか木の枝の上に乗る。
枝の周辺は葉に覆われていて好都合だった。
丁度、気配隠蔽の効果が切れて姿が見え始めた。
(勇都よ。これからどうするつもりじゃ。どうやってあの豚の化け物を倒す。)
サマエルが勇都に話しかけてくる。
(師匠。全然思いつきません。毒も効かないしどうすればいいか…)
勇都は、サマエルに弱音を吐く。
(馬鹿者!効かないからと言って戦いを諦めてはならん。最後の最後まで足掻く。頭でしっかり考えるのだ。我が弟子よ!)
サマエルは、勇都を叱る。
すると勇都は、無言で指差していた。
それは、ミポーのいる方向だった。
ミポーは、その場に立ち止まったままであった。
「本当にイラつく…。」
ミポーは、森の中を見回して睨んでいた。
ミポーの体の色が次第に変わっていく。
体が真っ赤になっていった。
真っ赤な色の豚が、禍々しいオーラを放ちながらゆっくりと一歩を踏み出す。
「ゲブウウウウウッ!!!!!」
ミポーは、口から黒い玉を吐き出す。
それは、先程よりも巨大であった。
黒い玉は、そんなに飛ばずに地面に落ちた。
が、地面の土を抉り溶かしていた。
小さな穴が地面に作られていた。
「ブハアアアアッ!!!」
ミポーは、両手を引っ掻くように振り回す。
すると強い風が森の中を吹く。
「うっ…」
木の上に居た勇都の下に風がやってくる。
台風の風の様な風圧で体勢が崩れそうになる。
ミポーは、その場で絶叫する。
「アアアアアアアアアッ!!!」
ミポーの叫びが森の中に響き渡る。
勇都は、あまりの音で両耳を手で塞ぐ。
ミポーの絶叫を聞き、空を飛ぶ鳥も何羽かが地面に落ちていた。
ミポーは、自分の前に落ちた鳥を鷲掴みにしてそれを口に入れる。
鳥を噛み砕き食べるミポー。
ミポーの顔に笑顔等なかった。
目を充血させ睨みつけていた。
「あの怪物をどうやって倒せばいいんだ?毒が効けば勝機があるが…」
勇都は、赤色に染まり森を徘徊するミポーを見て、全身が恐怖の為か震えていた。
「落ち着け。落ち着くんだ。」
勇都は、自分に言い聞かせて冷静になる様に努める。
すると勇都は、何かを思いついた。
「一か八か。やってみるか…」
勇都の目の輝きは、まだ消えてはいなかった…




