第11話 女神…
「う、うっ…」
どのくらい意識を失っていたのだろうか…
勇都は目覚めた。
自分はどうしてしまったのか?
ゴブリンに追い詰められて、突然、地面が崩れ落下したことをようやく思い出した。
「い、いてて。せ、背中が痛いや。何処だここ?」
勇都は、落ちた所が藁のような物が大量にあった。
藁のような物がクッションになり、背中を軽く打ちつけただけで済んだ。
もしそれらが無ければ、大ダメージを負い最悪死んでいたかもしれない。
勇都の周りはとても暗かった。
勇都は、何とか起き上がり、袋からろうそくを取り出す。
火打石で火を付ける。
辺りを照らすが、何もない。
落ちた先の方に道が広がる。
勇都は、落ちてきた上の方を照らす。
が、ろうそくの炎は自分の頭の上ぐらいしか見えない。
「今、何階層にいるんだろうか。まあ、進むしかないか…」
勇都は、歩き始めた。
ゆっくりと辺りを確認しながら進む。
モンスターが出てくる気配はない。
少し安心する勇都。
(何とかして地上に戻らないと…この先に階段があるといいんだけど。)
すると道の先が急に明るくなってきた。
「な、何だあれ。」
勇都の目の前に真っ黒の扉があった。
扉の隙間から緑色の光が漏れている。
扉の前には、鎖と鍵がしてあった。
鎖と鍵は、だいぶ年月が経っていたのかだいぶ腐食してボロボロになっていた。
(なんか、扉の中から怪しい光が見える。モンスターがいるかも…)
勇都は、扉の前で立ち止まってしまった。
この先に道や階段があるかと思ったがここで行き止まりだった。
反対側の方に道はなかった気がした。
(どちらに行っても進めない。この扉の中にも何があるのか?待ち受けているのかもわからない…)
勇都は考えていた。
このままだとろうそくも無くなり明かりもない中での探索となる。
隙を突かれ、突然出現したモンスターに倒されるリスクもあった。
いずれにせよ、勇都には進むと言う選択肢しかなかった。
「行くしかないか。扉の向こうに…」
勇都は、扉に近づいた。
勇都は、扉の鎖を力いっぱい引っ張った。
ダガーを鞘に入れ、鎖に掛ける。
傾けたり、鎖ごと引いたりして見る。
(開け、開けー、開けぇ!!!)
ゴキッ
鎖が真っ二つに割れる。
勇都は、扉のノブに手を掛けて開く。
重厚感ある想い扉だった。
力を振り絞りゆっくりと勇都は開けていく。
扉は、勇都が1人入れるぐらいまで開いた。
勇都は、ゆっくりと扉の中に入っていく。
すると、緑色の光が強くなっていった。
扉の中は部屋だった。
大理石で作られていて比較的綺麗な感じの部屋だった。
奥に祭壇らしきものが見える。
そこから緑色の強い光を発していた。
勇都は、ゆっくりと光の先へと向かう。
(あの光は一体何なんだ。)
勇都は、立ち止まる。
「おい、嘘だろ。」
勇都は思わず声を上げた。
祭壇のような所に1人の女性が眠っていた。
手足を鎖で縛りつけられていた。
整った美しい顔立ちの美女。
勇都には女神の様に見えた。
美女は眠っていた。
全く動かない。
ただ、美女の髪の毛は緑色に光り輝いていた。
勇都は、呆然とその場に立ち止まっていた。
すると勇都の耳元に声が聞こえてくる。
《誰じゃ…ここに来たのは…久方振りの人間じゃないか…》
勇都の耳元に女性の声が聞こえてきた。
「えっ?!」
勇都は、眠っていた女性を見る。
するとゆっくりと女性は目を開いて行った…




