第24話 寄り道…
勇都は、フューリーの黒船に乗っていた。
黒船は、海上を円滑に進む。
エクスプローラー号よりも速く小回りも効いていた。
勇都は、エクスプローラー号から降りていた。
エクスプローラー号に乗り王都クックに向かう予定だった。
が、勇都達はそれを止めてある場所に向かっていた。
それは、魔剣グランベリーに姿を変えたサマエルの影響だった。
サマエルは、バスターやクラーケンと戦っている最中にある臭いに気づいた。
その臭いとは、毒だった。
それは強烈な物。
そして、懐かしきものだとサマエルは勇都に話す。
一体何の事か最初はわからなかった。
その毒の匂いは、以前ターメリックの闘技場で会ったハザンの故郷インゲン国の付近から漂ってくるとサマエルは言った。
サマエルは、ふざけてる訳でなく大真面目に勇都に話す。
毒の匂いが漂う所に向かいたい。
その臭いは、自分と天界に居た時に家族の様に過ごした神のものである。
過去に天界で神々同士の激しい争いがあった。
それに破れ、地上に追放された神達が居た。
その神に会いに行きたい…。
勇都は、サマエルの切なる願いが何故か胸に響いた。
勇都は、師匠のサマエルの願いを拒否することは出来なかった。
サマエルの力で幾度の危機を乗り越えてここまで生きてきた。
今度は、そんな師匠の願いを叶えるために動くべきだと…
勇都は、サマエルの言う通りに行動することにした。
王都クックにも興味があった。
華やかでこの世界で一番の大都市。
そこには、いつでも行けるはず。
ちょっとぐらい寄り道しても問題はないだろうと勇都は判断をした。
エクスプローラー号に乗るエキドナに事情を話す。
エキドナは、勇都の話を承諾した。
エキドナは、ヒューリーに掛け合う。
ヒューリーは、クラーケンを倒した今、特に目的は無かった。
補給や取引でインゲンの国に何度か行った事はあった。
エキドナの願いもありヒューリーは、勇都をインゲンの国へと運ぶことになった。
「インゲンの国まであとどのくらいかかりますか?」
勇都は、大鎌を磨いていたジミーに聞く。
「あん?あの国は、入国するまで色々と入り組んでいる場所を通ったりするから面倒なんだよな。まー、次の日には着くはずだ。」
ジミーは、嬉しそうに布で大鎌の刃を磨いていた。
黒船は、海をひたすら進む。
周囲には何もない。
勇都は、顔に当たる風に心地よさを感じていた。
‐2時間後‐
海を泳ぐ物体があった。
「確かにここら辺で臭いを感じたんだけどー♪」
海を犬かきの様に泳ぐ動物らしきものが居た。
それは、豚の顔をしたモンスターだった。
それは、魔王の手下ミポーだった…




