第22話 雷の一撃…
勇都の持つ魔剣グランベリーがバスターの胸を突き刺していた。
「う、ぐ…が。こ、ここで終わるなんて…い、嫌だ。俺はクラーケンとこの海を治める存在に…ま、魔王様の一番の手下として…」
サマエルが変化したグランベリーの刃は、バスターの心臓を突き刺していた。
「こ、この海は、俺。お、俺様のもの…だ…」
勇都は、グランベリーをバスターの体から引き抜く。
大量の血が噴き出した。
バスターは、静かにクラーケンの頭の上から落ちて行った。
バスターは、海に沈んで行った。
「た…倒した…」
勇都は、力を使い果たして膝を付く。
「も、もう力が出ないや…ランドさんが言った事守らないと…」
すると突然、勇都の身体中が熱くなった。
勇都の体に力が漲る。
(勇都よ。レベルアップしたぞ!)
サマエルが勇都に呼び掛ける。
勇都のレベルが上がり体力が回復した。
勇都は、クラーケンから離れるために周りを見る。
エクスプローラー号からだいぶ離れていた。
自分のいる真下のクラーケンは、バスターが倒れ全く動かなくなっていた。
勇都は、エクスプローラー号に戻ろうとした。
が、泳いで戻るしか手段はなかった。
ランドは、雷神トールが変身した武器トライデントの力を使ってクラーケンを倒そうとしていた。
このままここに居ると巻き添えを食い死んでしまう可能性があった。
「もう。海に飛び込むしかない。泳いで戻るしか…」
勇都は、グランベリーを鞘に収めて泳ぐ決意をした。
「ユウト~!」
何処からか勇都を呼ぶ声が聞こえる。
勇都は、声の方向に向く。
するとクラーケンの横にいつの間にか黒い船が迫っていた。
「大丈夫かー?」
勇都を呼んでいたのは、エキドナだった。
エキドナの横には、フューリーが居た。
黒い船は、フューリーの海賊船だった。
黒船は、クラーケンに近づく。
「坊や!速く飛び乗れ!!」
フューリーが手を振り合図する。
勇都は、船に向かって飛ぼうとした。
が距離があり跳べなかった。
このままだと海に落下してしまう。
「急げ!時間が無いぞ!!」
ヒューリーは、勇都に叫ぶ。
が黒船は、近づいたり離れたり安定しなかった。
「おい!速く掴まれ!!!」
1人の男が勇都に向かって何かを出す。
それは、大鎌を持った海賊。
フューリーの手下のジミーだった。
「俺の鎌に掴まれ。死神ジミー様のものに特別掴ませてやるんだ。速く!!」
飛んでジミーの大鎌に掴まりぶら下がれば船に乗れた。
勇都は、クラーケンの頭の上から走った。
全力で走り、思いっきり飛ぶ。
ジミーの大鎌に勇都は捕まる。
ジミーに引かれ、勇都は、黒船の甲板に着地できた。
「野郎共!ここから離脱だ!!!」
フューリーの合図で船は全速力で動き出す。
あっと言う間にクラーケンから離れた。
ランドは、勇都がフューリーの船に乗ったのを確認した。
するとランドは、片手でトライデントを回転させる。
「我が雷を帯びた槍よ。悪しき物達を貫け…スパークエッジ!!!」
ランドは、電流で輝くトライデントを思いっきりクラーケンに向けて投げつける。
物凄い速さでトライデントは、光りながらクラーケンに向かう。
トライデントは、クラーケンの頭をぶち抜いた。
クラーケンの全身は、電流を帯びていた。
電流で体を踊る様に動かすクラーケン。
するとクラーケンの動きが立ち止まった。
クラーケンは、体を海に打ちつけた。
大量の血で海水が緑色に染まる。
クラーケンは、そのまま仰け反る様に静かに海へと沈んで行った。
5分後、クラーケンの体は完全に沈んだ。
「やったぞ!遂にクラーケンを倒したぞ!!!」
エクスプローラー号から歓声が起きる。
海の悪魔クラーケンは、バスターと共に深い海の底へと行った。
雨が止み、雲の切れ間から眩しい太陽の光が海面を照らしていた。
黄金の海の様だった…




