第13話 デッドエンドの大渦へ…
勇都達は、エクスプローラー号の船内の一室にいた。
部屋には、船長のサムスやエキドナがテーブルに座っていた。
その2人の向かいには、ランドが座っていた。
勇都は、エキドナから同席してくれと頼まれて部屋の外れの椅子に座っていた。
ランドから詳細を聞いたサムスは、溜息を吐いた。
「ランドさん。貴方の言う事はよくわかる。が、進路を変えるわけに簡単にはいかないんだ。王都クックにこの船は到着しないといけない。遠回りで行きたいのも山々だが、船内に蓄えた食料も無くなってしまう。船には、お客様も多い。デッドエンドを避けて行く事はできないんだ。」
サムスは、エクスプローラー号の現状を伝えていた。
ランドは、静かに目を閉じる。
「そうか。わかった…。そちらの事情よくわかった。俺は戻るよ。」
ランドは、椅子から立ち上がろうとする。
「あ、ま、待ってください。ランドさん。」
勇都がランドを止める。
「ランドさん。お願いです。一緒に来て頂いて、この船の警護をして頂けませんか?」
勇都は、ランドに提案を持ちかけた。
「デッドエンドの場所は、ランドさんよく知っているみたいですし。それにクラーケンが来た時に助けてくれた命の恩人です。」
「…いや。あの時は、漁で船を出していたらクラーケンを見つけたので…」
ランドは、表情も変えずに淡々と語る。
「それに僕達の武器や力ではクラーケンに通用しなかった。でもランドさんの持つ、トライデントと言う武器は、クラーケンにダメージを与えてました。もし、再びクラーケンと出くわした時はどうしたらよいのかわかりません。心強い戦力が必要です。ねっ!エキドナさん。」
勇都は、エキドナに向かって言う。
勇都の腰に差してある魔剣グランベリーに姿を変えたサマエルは、内心呟く。
(わしの毒もしっかり効いていたぞ…)
部屋の壁に立てかけてあったランドの武器トライデントが一瞬光る。
トライデントは、天界から下りてきた雷神トールの変身した姿だった。
(私の力だけでは正直きつい。サマエルの毒の力も強い。)
エキドナは、勇都に言われて口を開く。
「ああ。確かに…。あの海の化け物に立ち向かえるランドさんの力。ユウトの言う通り必要だな。」
エキドナは、ランドに交渉をしていった。
最初は、渋っていて拒否していたランド。
しかし、エキドナは、高い報酬を出すと提示し頭を下げて頼み込んだ。
サムスも商会に頼んでそれを承認させるので同行して欲しい。
海の進路が上手く進むように導いて欲しいと…
ランドは、サムスとエキドナの頼みに根負けした。
「わかった。一緒に行こう。ただし、デッドエンドを抜けたら帰る。」
ランドは、承諾をした…
その後、ランドはサムスと共に操舵室に入りデッドエンドに向けて指示をする。
エクスプローラー号は、ゆっくりと海を航海していた。
海は穏やかだが、空は雲が少しずつ増えてきた。
太陽が雲に隠れ、暗くなる。
勇都は、エキドナや水夫らと共に船首にいた。
「うわああ。凄い。何か大きな渦が見えてきた。」
遥か先の海面に大きな渦が速く勢いよく回っていた。
まもなく、エクスプローラー号は、デッドエンドの大渦へと近づこうとしていた…




