第8話 鮫とクラゲ達の輪舞…
海上から何かが飛び出してきた。
「うおっ!!」
水夫は、飛び出してきた何かを躱す。
上空に浮かび上がる巨体があった。
それは、傷だらけの巨大な鮫だった。
鼻の先が鋸の様になっていた。
鮫は、再び海中に潜る。
「デ、デッドシャークだ…」
銛を持った水夫が鮫を見て青ざめていた。
ウォーターメロンの海域に生息する凶悪なモンスターの内の1体だった。
再び海上から飛び出すデッドシャーク。
「ぐあっ!!!」
用心棒の冒険者の腕から大量の血が出ていた。
(あの鮫の鼻先に微量だが毒の気配がある。あやつを倒し栄養補給じゃ!)
勇都の手に握られた魔剣グランベリーに変化したサマエルが呼び掛ける。
「ど、どうやって倒しましょうかね。」
勇都は、戸惑いを隠せなかった。
「海上に出てきた所を攻撃していくしかないわ!」
エキドナは、短銃を構え直す。
ドンッ
エクスプローラー号後方から大きな音がする。
「うあああああっ!!」
「あ、あ、あ…」
叫び声が聞こえてきた。
勇都は、エクスプローラー号の後方に向かって走り出していた。
「な、何だあれ?」
勇都の目の前に巨大な青白いクラゲがエクスプローラー号に乗り込んでいた。
クラゲは、触手で水夫や冒険者達を掴んでいた。
捕まった者達は、全身が痺れて動けなくなっていた。
ある者は、口から泡を吐いて気を失っていた。
(勇都よ。あのお化けクラゲから毒の匂いがプンプンする。今日の一番のメインディッシュじゃ!)
サマエルは、楽しそうな声で勇都に語り掛けていた。
前方には、デッドシャーク。
後方には、正体不明の巨大なクラゲがいた。
「とりあえず、このクラゲから倒しましょうか!」
勇都は、クラゲに向かって走り出す。
捕まっていた水夫達を助けるために触手をグランベリーで斬りつける。
刃がクラーケンを斬った感触よりも手ごたえがあった。
しかし、滑っとした感触は不快だった。
他の触手が直ぐに反応し勇都に襲い掛かる。
勇都は、バックステップしそれを避ける。
捕まえていた水夫達を離すが、クラゲはゆらゆらと全身を揺らしてゆっくり漂っていた。
勇都は、グランベリーを握り再び巨大クラゲに向かおうとする。
すると海上から勢いよくデッドシャークが飛び出してきた。
「わっ!!」
勇都は、横に体を転がせてデッドシャークから逃れる。
勇都は、起き上がりグランベリーの柄に玉を入れる。
何処から飛び出してくるかわからないデッドシャークと正体不明のクラゲに勇都は立ち向かおうとしていた…




