表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/37

8話 覆面のエルフ、アルナ

 キースが四体のオーク達へデバフをかける。



『俊敏10%ダウン、膂力10%ダウン』



 そして双子へバフの支援をする。



『俊敏10%アップ、膂力10%アップ』



 四体のオークは紫色の粒子に覆われる。



「ブゥォオー」



 双子を光の粒子が覆う。



「きたよ。きたよ。支援魔法。力がわいてきた」


「やっぱり、キースの支援魔法は最高。気持ちいい」



 スーラとウーラの双子は嬉々として四体のオークへ急接近していく。

そして双剣のシミッター四本でオークに斬りかかる。

オークは大上段に棍棒を構えて振り下ろすが、スーラのシミッターが横薙ぎに一閃するほうが早い。

ウーラも逆袈裟にオークを一閃して、二体のオークを倒す。


 残りオーク二体。


 スーラは袈裟切りにオークを切裂く。ウーラはに大上段から唐竹割りにオークを両断する。

あっという間にオークとの戦いは終わってしまった。



「す……すごい。すごいよ二人とも」


「キースの支援魔法のおかげだよ。そうでなければ、もう少し手こずってる」


「確かにキースの支援魔法はすごいです。力が湧いてきて、気持ちいいんです」



 そう言って、スーラとウーラの双子はオークの魔石を胸から取り出して、討伐部位を斬って、リュックの中へと収めていく。

こんなに支援魔法を喜んでもらったのは、十三歳の時に『シュトラウス』に入団した時以来だ。

キースは嬉しくなって目頭が熱くなるのを感じる。


 双子とキースは次の魔獣を探して森の奥へと入っていく。

すると森の奥から剣の音が聞こえる。


 森の茂みから奥を覗くと一人マントを羽織った覆面の者が、三体のオーガと戦っている。

三体のオーガを相手に一人で戦うなんて、Bランク冒険者なのだろうか。



「ガァゥガァア」


『風の精霊よ。我を守れ』



 三体のオーガは風の魔法障壁によって、覆面の者に近寄ることができない。

しかしマントの者も、このままではオーガに攻撃が通用していない。

このままでは魔力を消費して、最後には覆面の者がオーガに負けるだろう。



「キース、助けに行くわよ」


「支援を頼みます。相手はオーガ三体です。私達も危ない」


「わかった。助けに行こう」



 キース達三人は慌てて、覆面の者の所まで走っていく。

そしてキースが双子と覆面の者にバフをかける。



『俊敏10%アップ、膂力10%アップ』



 覆面の者と双子に光の粒子が覆う。



「これは支援魔法……」



 覆面の者が小さく呟く。


 そしてキースはオーガ三体にデバフをかける。



『俊敏10%ダウン、膂力10%ダウン、強靭10%ダウン』



 オーガ三体が紫色の粒子に包まれる。


 双子はオーガ二体と対峙する。双剣のシミッターがオーガの筋肉を引き裂く。

その間に、オーガ一体がキースに迫ってくる。

Cランク魔獣オーガ。

はたしてキースの身体能力がオーガに通用するだろうか。

キースは剣を握りしめて、オーガの動きを観察する。



「ガァゥアアー」



 オーガが大上段から天然の剣を振り下ろす。キースは一歩後退して、剣でオーガの剣を受け流す。しかし一撃の重さはオークの比ではない。衝撃でキースの足元が崩れる。



「助太刀するわ。『風の精霊よ。私達を守って』」



 追撃しようとしていたオーガの天然の剣を、風の魔法障壁が弾き飛ばす。



「私の魔法攻撃もバフしてちょうだい」



 素早く覆面の者がキースに指示を出す。キースは覆面の者に言われる通り『魔法攻撃10%アップ』のバフを覆面の者にかける。



『風の精霊よ。刃となって敵を裂け』



 キースと対峙していたオーガが風の刃によって斬り刻まれる。

その隙にキースは全身の力を集中して、オーガの胸めがけて剣で貫く。

するとオーガの動きが段々と鈍くなり、やがて動かなくなって、キースの前に倒れた。



「ヤッタじゃない。キースが自分の力でオーガを倒したんだよ。凄いよ」



 二体のオーガを倒したスーラとウーラの双子がキースの元へと走ってくる。

キースを助けた覆面の者も、覆面を外してキースに礼をする。



「君達に助けられたようだね。私はエルフのアルナ。精霊使いのアルナよ。よろしく」



 そう言って覆面を外したエルフのアルナは、キースに右手を差し出した。

キースはアルナの手を取って握手する。



「私は世界樹の森を守る、エルフの里からやってきた。エルフの閉鎖的な暮しを捨て、大きな世界を見たいと思って、魔巣窟の森を通ってここまでやってきた。人族の街へ行きたい。案内を頼めないだろうか?」


「俺の名前はキース。デリントンの街まではもうすぐだよ。案内して行くよ」


「オーガ達を倒してくれて、本当に助かった。それに案内までしてもらって助かる」



 アルナとキースが二人で話していると、スーラとウーラの双子が頬を膨らませている。



「「私達もオーガと戦ったんだから、話に混ぜてよ!」」



 いきなり双子がキースとアルナの間に入って、二人を離す。



「ごめん。ごめん。二人を無視していたわけじゃないんだ。アルナをデリントンの街へ案内する約束をしていたんだよ」


「私はスーラ。ワーウルフの獣人。双子の姉。よろしくね」


「私はウーラ。ワーウルフの獣人。双子の妹。よろしくです」


「私は世界樹の里のエルフ、アルナ。二人ともよろしく頼むわ」



 アルナとスーラとウーラは仲良く握手をして、抱きしめ合って微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ