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7話 双子との特訓

 西の森に近い街道から少し離れた草原でキースと双子は剣術の修行に励む。


 初めはキース対スーラ。

スーラの双剣のシミッターがキースに襲いかかる。

しかし、今まで回避だけは上手かったキースにシミッターをことごとく回避される。



「キース、なかなかやるわね。回避するのだけは上手いんだ」


「これでも後方での支援魔法士だからね。回避運動ぐらいはできないとね」


「ウーラ、アンタも参加しなさいよ」


「わかったわ。スーラ」



 スーラに次いでウーラまで参加して、キース対双子の剣術特訓となる。

さすがに双剣のシミッター四本を全て回避できない。

キースは剣で捌いて、シミッターを受け流す。


 するとスーラのきれいな脚が、キースの鳩尾へヒットする。



「ウガァ……」


「油断大敵よ、キース」



 次にウーラに膝裏を蹴られて、草原に転がる。

キースが倒れた所で、一旦、小休憩に入る。


 三人で草原に寝そべって、青空を眺める。



「ハァ ハァ ハァ」


「これだけ運動すれば気持ちいいでしょ」


「青空も気持ちいい」



 双子が草原の上でゆったりと横たわっている。

キースの息が整ってきた。晴れ渡った空がどこまでも高い。



「それじゃあ、もう一丁いくわよ」


「そうね。スーラのいうとおりね」


「そんなことしていたら、魔獣討伐に行けなくなるよ」


「「それでもいいんじゃない。だってキースの貯金があるもの!」」



 双子の目的がわかった。キースと一部屋で暮らすことだ。

そのためにキースの貯金を減らしてもいいと思っているのだろう。



「なぜ、そこまで俺と一緒の部屋で暮らしたいんだ?」


「だって、皆で暮らしたほうが楽しいじゃん」


「獣人の里では皆、一緒に暮らしていましたし、男女の区別なんて関係ありません」



 スーラとウーラはワーウルフの獣人だ。

だから仲間で暮らすことが当たり前なのだろう。

キースのことを仲間と思ってくれるのは嬉しいが、男女同部屋だと恥ずかしいことも多い。



「ダメだよ。ロミンダとも約束したんだから。今日中にEランク魔獣をいつもの倍は狩らないと」


「キースってロミンダのことを凄く気にするよね。何か思うところでもあるの?」


「そんなのある訳ないじゃないか。ロミンダだって俺のことを弟みたいに思っているだけだし」


「「怪しいんだ!」」



 ロミンダの顔を思い出して、少し顔を赤らめるキース。

それをジト目で見ているスーラとウーラ。



「さあ、立って、まだ基礎特訓を始めたばかりよ」


「そうですね。まだ始めたばかりです」



 そう言われてキースと双子は立ち上がって組手を始める。

やはり1対2の戦いではキースは全てを回避することができない。

スーラとウーラの足技が容赦なく、キースの体に叩きこまれる。

その度にキースは草原に転がることになった。



「もうそろそろ、特訓は止めて、魔獣討伐へ行かないと、本当に今日は狩りにならないぞ」


「そうね。そろそろ止めて、狩りに向かいましょうか!」


「そうですね。体も丁度ほぐれてきたところですし」



 三人は魔獣討伐のため西の森の茂みへと入っていく。

茂みの中を歩いていると三体のゴブリン達が歩いている。



「キース、一人で三体を相手にしてみなさいよ。あれだけ回避ができるなら大丈夫よ」


 ソロで行動するようになってから、Eランク魔獣といっても三体を相手にしたことはない。



「危なくなったら助けに入るから」


「私達が付いています」



 そこまで言われるとキース一人でやるしかない。

キースは剣を抜いて、ゴブリン三体を強襲する。

一体のゴブリンを茂みからの強襲で袈裟切りにし、二体目のゴブリンの腹を横薙ぎに一閃する。

三体目のゴブリンが天然の戦斧を上段に構えて振り下ろしてくるが、キースは簡単に回避した。

そして逆袈裟切りにゴブリンの体を剣で斬りあげる。


 茂みの中から出て来た双子は小さく拍手をしていた。



「いい動きだったわ。三体を一瞬なんて、キースもやるじゃん」


「そうですね。キースもEランク魔獣相手なら大丈夫ですね」


「確かに三体ならなんとかなるよ。だけど群れられたら無理だ。自分の限界ぐらいわかってる」



 確かにキースの言うとおり、Eランク三体ぐらいまでならなんとかなる。

しかしEランク魔獣は群れることが多く、仲間が集まれば十体を超えることもある。

そうなるとキースの回避能力では避けられなくなる。



「そこの線引きがわかっているなら合格点」


「確かに、無謀と冒険は違いますからね。線引きは必要ですね」



 そう言いながら、森の中を三人で樹木に隠れながら歩いていく。

すると樹木の向こう側にオーク四体の姿が見える。

オークはDランク魔獣だ。それも四体。



「大丈夫よ。キースの支援魔法があれば、オーク四体ぐらい楽なもんだわ」


「私達もキースに良い所をみせないといけませんね。スーラ」


「「支援はキースに任せたからね」」



 双子達は双剣のシミッターを抜いて、オーク四体の群れへと突貫していった。

その後ろをキースは慌てて追っていく。


 双子は素早くて、しなやかな動きで、オーク四体へ強襲する。

キースはオーク達へデバフの支援魔法をしかける準備に入った。

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