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【書籍化】お局様!三十路OLの転職~株式会社異世界商事へようこそ~  作者: 富士とまと


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 そして、社長も、言葉が足りなさすぎる!そりゃ、わからないよ、使い方。そして、注文も来ないよそれじゃぁ。

「では、時間を図りましょう。1分半ですね」

 と、ネジまきの壁掛け時計の秒針を見ながら、砂を口から入れる。1分半で落ちる量で砂を入れるのを停止。いったん軽く栓をして逆さにして砂が落ちる時間を確認。1分半より少し早かったため、砂を足す。そうして確認しながら1分半分の砂をきっちりいれると、栓が抜けないように今度は金づちで栓を入れ込み、余分な木の部分を切り落として完成。

「できました。基本はこれで砂時計ができます」

「これは、すばらしいっ!これならばわが国でも砂時計が量産できるっ!」

 殿下が感極まり、ぎゅっと抱き着いてきた。

 で、で、で、殿下っ!日本人にはハグしちゃだめですっ。免疫がないのでっ!社長もちゃんと伝えてくださいよっ。

「しかし、時計というものは、くるくると針が3本動いて何に使うのかと思っていたら、砂時計を作るための物だったんだな」

 殿下っ、そして社長っ!

「いえ、これは1日の時間を図るものです。あの、起きる時間や寝る時間とか、えーっと、この国ではどうしていますか?」

 殿下が後ろに控えている者の一人に合図を送る。

「説明させていただきます。窓のそと、あちらに小さな塔みたいなものが見えますが、太陽の光で塔の影ができます。その影の場所が、あの印の箇所にきたときにそれぞれ鐘を鳴らして時間を知らせます」

 日時計……か!

 あれ、でも1分とか1分半とか会話してたのに、どうして時計が?時間の概念はどうなっているのだろう。

 日時計の印の感じを見ると、朝の6時、9時、12時、3時、6時に鐘がなる感じだろうか。

 とすると、起きる時間、仕事を始める時間、お昼の時間、休憩の時間、仕事が終わる時間……?

「おお、ちょうど鐘が鳴りましたね。お昼の時間です。殿下」

 慌てて時計の針を12時に合わせる。

「私の国では、お昼の時間は12時、針がこの位置にきたらお昼だという合図です。鐘が聞こえなくても時計を見れば生活できます。私の国と同じように時間が進んでいるのであれば、次に鐘がなるのは3時、その次の鐘が6時。それから明日の朝いちばんの鐘が、朝の6時で次が9時、それから明日のお昼にまたこの12時になると思います」

 途中でネジが切れないように巻いておこう。

「本当か?確かめよ」

 殿下が先ほど日時計の説明をしてくれた人に時計を渡した。

 あれ?ちょっと待てよ……

「もしかして、数字が読めてなかったんじゃ……」

 英数字は世界中どこでも読めると思い込んでいたけれど。独自の数字を使っている可能性もある。だって、こちらから届く注文書を見せてもらったことがあるけれど、数字だと認識できるものはなかった。

 それでも社長が読み上げるときには数を言っていたから……。

「時計に書いてある文字は数字です。一、二、三、……と」

 社長……。商品を送る時にもうちょっと詳細な説明書を付けたほうがいいみたいですよ……。作業着スーツのように、見れば服だ。とりあえず着ればわかるみたいなものばかりじゃないんですから。

「なるほど、数字か。お昼の鐘が12時というのか。ああ、そうか。この針が太陽の動きをしているんだな。下から上に登って、日が沈むように下に下がる。昼は一番太陽が高いから、一番上をさしているのか」

 え?

 斬新な考え方だ。確かに、朝6時、日の出。低い位置から太陽が昇るように、9時12時と回り、今度は12時の一番高い位置から3時6時と下に下がっていく……。そうか。昼間しか鐘がならないこの世界では、時計は昼の時間を示す感覚なのか……。それとも、夜の間は月が昇って下りてくるという感じで見るのかな?ロマンチックだね。

 さぁ、では食事をとろうか。

 リュウソ殿下がすいっと私に手を差し伸べる。

 えーっと、どう考えても手を取るべき?

 そっと、手を重ねてみる。ハグされるよりはましだけど、日本人は手を取り合うのも、勇気がいるんですよ。

「では、食堂へとご案内いたしましょう、リョーコ殿」

 食堂に用意されていたのは、パン、肉だ。

「食の好みがわからなかったので、ソータが好んで食べていたものを用意させた」

 ……社長、肉があれば満足な人ではないはずですよね。それとも、若いころは肉があれば満足なタイプだったのかな?

 お昼、いつお何を食べていたかな。お弁当を食べている私の前で、コンビニの弁当だったり、おにぎりだったり、サンドイッチだったり……。

 あんまりバリエーションはなかったですね。そういえば……。

 せっかくキッチンあるんだから、簡単な物なら作ればいいのにって……ううん。本当は、何度も、何度も……。何か作りましょうか?って言いそうになった。

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