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【書籍化】お局様!三十路OLの転職~株式会社異世界商事へようこそ~  作者: 富士とまと


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「これ、取引先の国からもらったお茶の葉なんだ。ついでに感想とか聞かせてくれるとありがたい。ちょっと独特な風味だから、合わなきゃ合わないって言ってほしいし」

「外国のお茶ですか!あ、日本茶以外はほとんど外国産ですけど。風味が独特とは?私、紅茶は好きでいろいろ買って飲んでますよ。ダージリン、アッサム、セイロン、ウバの定番茶葉なら甘味の強いアッサムでミルクティーにするのが好きです。フレーバーティー系なら、アールグレイが好きなんです。ジャスミンティーやアップルティーはちょっとフルーティーな香りすぎる印象で。飲んだ時とのギャップがあまり得意じゃなくて。ハーブティーは、美容にはローズヒップがいいと言われますがちょっと酸っぱくて私はダメでしたね。ルイボスティーは麦茶代わりにごくごく飲めてお勧めですよ。それから、夏場はペパーミントティーもすっきりして……」

 あ、また一人でペラペラと話をしてしまった。

 社長はあきれることもなく、ニコニコと笑って、ティーポットを運んできた。

「1分くらいで飲み頃ですよ」

「どんなお茶でしょう、楽しみです……1分……」

 ちらりと壁にかかっている時計を見る。

「砂時計があるといいですね」

 社長が立ち上がった。

「砂時計!確かに、絶対喜ばれる!」

 喜ばれる?

「あ、いえ、思いつきませんでした。えっと、取引先の国には砂時計はないので、そもそも時計もないんですけど、あ、しまった」

「時計がない?」

 令和の時代に?

 いえ、日本じゃなきゃ令和は関係ないですが、西暦も2000年をとっくに超えた時代に?

「あー、その、時刻はありますよ。えっと……電気がないから、電化製品がないだけで……」

 電気がない。

 はるほど、分かりました。理解できました。

 まだ電気が通っていない地域は確かにありますよね。

 村長の家だけ発電機があって、村人全員が集まってテレビを楽しみにしているみたいな村とかテレビで見たことがありますし。

 もしくは、近代文明を拒否して、電気を使わない昔ながらの生活をする人たちでしょうか。アーミッシュと言いましたか。世界のいくつかにその方たちの集落があるんですよね。

「でも、時計って電化製品じゃないですよね?」

 社長が壁の時計を指さす。

「涼子さん、あれ、コンセントつながってないですけど、電池入ってますよ。電池で動くのも電化製品でしょ?」

 社長……マジですか。

 いや、うん。テレビのない世界に15歳からいれば、いろいろ見てきてないから知らないことも多いのかもしれないですが。小学校中学校は日本にいたんですよね。

 ……ああ、小学生や中学生は知らないのかな。いや、もしかすると、30歳くらいまでだと知ってる私の方が珍しいのかな?

「社長、鳩時計って聞いたことありますか?」

「はい。鳩が出てきてぽっぽーってなくやつですよね。うん、そういう時計のほうがいいですか?」

 いや、違う。

「では、振り子時計って聞いたことありますか?」

「あ、知ってます、知ってます。大きな時計で、七ひきの子ヤギが隠れる時計ですよね?」

 そうですね。童話にも出てきましたね。

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