表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/72

14

 貴重品があるのであればそのほうがありがたい。試用期間だし、何かなくなったといって疑われるよりずっといい。

 鍵を受け取ってカバンの中に入れる。

 ……鞄どうしましょうね。ロッカーとか更衣室とかないですよね。

「机、こちらの使ってもいいですか?」

 面接で座った事務机を指さす。

「あ、はい。僕はこっちに座ります。それからえーっと、何でも好きに使ってください。倉庫の3つの扉以外は出入りも自由です」

 好きに使っていいっていうのは、ダイニングキッチン部分もってことかな?さすがにカップとかは自分の持って来たほうがいいよね。

「で、私は何をしたらいいですか?」

 仕事の内容を尋ねただけなのに、社長が固まった。

「何をお願いしたらいいでしょうかね?」

 と、苦笑いしながら首をかしげる。

 知りません……。

「あの、しばらくはその、仕事をしながら、助けてもらいたいことをひとつづつ助けてもらっていいですか?で、慣れてきたら何かをお任せする感じで」

 そんなこんなで、仕事が始まりましたが……。

「作業着、どういうものがいいと思いますか?希望があれば言ってください」

 社長はコーヒーを入れてくつろぎタイムのようです。私にもコーヒーを入れてくれました。

 仕事は?

 とりあえず、何もしないというわけにもいかないので、パソコンの電源を入れる。パソコン2台あるうちの、片方がインターネットに接続できるもので、もう片方は接続できないものだそう。

「作業着を調べてみましょうか」

 インターネットにつながるパソコンに作業着と打ち込んで検索。

「おお!入力、早い!」

 社長が私の手元を見て目を輝かせました。

 OLなら普通……いや。最近の新入社員はスマホのフリック入力は手早いけれど、パソコンのキーボード打ち込むスピードはそれほどでもないかな。

 社長が出てきた作業着の画像を見て嬉しそうな顔をしている。

「これ、かっこいいなぁ~」

 指をさしたのは、近年出てきた扇風機付きの作業着だ。

「最近使われ始めた、炎天下でも快適に作業できるように空調付きのものですね。倉庫内は空調きいてますか?炎天下での作業の予定はありますか?ないなら必要ないと思います」

 ちょっとがっかりしている社長。

「ん?これは?これ、涼子さんに似合いそう」

 と、社長が指さしたのは「スーツ風作業着」。

 私、スーツが似合いそうなイメージなのか。

 伸縮性のある汚れにくい記事を使って、スーツ風のデザインに仕上げられた作業着。見た目は濃紺のスーツそのものだ。

 女性用はパンツスーツになっている。

「いいですね」

 女性だからとスカートじゃないところが考えられてる。婦人警官の制服も看護婦の制服も、スカートの時代じゃない。会社の制服がスカートが主流なのは甚だ疑問だ。

「そう?うん、ちょっと買ってみよう。えーっと、どこに売ってるの?」

 社長が気に入ったようなので画像から販売ページを開く。

「電話番号どこ?注文の電話を」

 はい?

「電話で注文ですか?」

 首をかしげる。

「どっかで売ってる?」

「いいえ、社長、このまま通販で購入できますよ?電話ではなくても。あ、それとも大量購入ですか?それなら販売店舗ではなく製造元を調べますが」

 社長がぽんっと手を打った。

「そうだ!通販。そう、インターネットで物を買うことができたんだよね。忘れてた。じゃぁ、早速買おう!涼子さんにお願いしていい?全サイズ10着ずつよろしく。あ、支払いは代引きで」

 は?全サイズ10着ずつ?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ