在りし日の鬼
さて.......連投にはなるが何を語ろうか.......?
そう続けて何かが起こることも無し、今回からは以前起きた事を語っていこう。
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それは夏の暑い日の事だった。
いつも通り病院に向かい、手術着に着替えて各部屋を周り機械におかしな所が無いかを見て回っていた時のことだ。
患者の呼吸を代行する機会を見ていた時に、その部屋で看護師達が朝礼会議を始めた。
その頃俺は、ようやく霊視が出来るようになってきた頃合いで見える事にワクワクしていた。
ふ...と集まった看護師を眼に力を込めて見えるようにして見渡す。
(守護霊、守護霊、守護霊、守護霊、.......!?)
目に入ったのは身の丈が3mはあるのでは無いかと思わせる黒い影だった。
(なんかいるー!?何アレ!?鬼!?なんであんなのいるの!?)
キャラ崩壊まっしぐらになるほどには、それは俺を混乱させた。
見れば取り憑いているのは入って1年目の新人男性看護師、霊の色が黒い事からも守護霊では無く悪意ある霊なのは確かだ。
朝礼終了後にさり気に最近は何処か変な所にでも行ったのか?と伺うと、特には行ってないがこの前に腹痛が酷くて入院して、今もまだ腹が痛いと言う。
原因が何かは分からないが、俺にはこの鬼が何かしたように思えて仕方がなかった。
その後、仕事に一段落をつけて何だか体調が悪いと思いふ....と鏡を見ると自らの背後に黒い大きな影が見えた。
鏡の見える範囲を超えて映っており、逞しい割れた腹筋がよく見えた。
(取り憑かれてるぅぅぅぅ!!!!????)
最早、目を上げるのも怖い事だった。
相手は巨大な鬼(他に例える名を思いつかなんだ)だ。
身の守り方すら知らぬ自分にはとても祓えるものでは無い.......、ならばどうするか?と考えたが何が出来るでもない。
見えない振りをして仕事を終えて、日の終わりに寺にでも行くしかないだろう。
その日は体の重さがやけに増したような錯覚?を覚えながらも仕事を終え、さぁ帰ろうとした時に前を通り過ぎる看護師の姿に目がいった。
彼女の背後にはその鬼が憑いていたのだ。
背後を振り向けば既におらず、ホッとしたが同時に強い恐怖も覚えた。
(あの鬼はこうやって人から人へと移り渡っているのだろう、そして今日は彼女があの鬼を連れて帰るのだろう.......無事に明日も仕事に来れるのだろうか.......?)
特に何をするでもなくその日を終え、また翌日に仕事場に来た彼女に目を凝らしてみると既に鬼は居なかった。
きっとあの鬼は今も宿主を変えながら人々の間を渡り歩いているのだろう。