あらすじ
ここには本編のまさしくあらすじが書かれています。この作品を新人賞一次落ち作品としてではなく、純粋に物語として読んでくれる方はここを読み飛ばすことをお勧めします。
ある学校でいじめが発生した。
矢川清介という教師が担任のクラスで、小杉若則を筆頭とするグループが、犬飼信司という生徒をいじめ出した。犬飼の親友であった柊玄も犬飼から離れてしまい、犬飼は孤立しながらいじめを受けていた。
生徒指導担当の国塚海咲はいじめを見過ごす矢川にいら立っていたが、そんな中彼女の元に犬飼と同じクラスの田中一という生徒が訪れ、いじめにどう立ち向かうべきかを尋ねてきた。国塚はその答えを自身で見つけてほしいと思い、彼女なりの立ち向かい方のヒントを出すだけだった。
だが、当の国塚本人も解決策を見出せず、小杉の目につかないところで犬飼が悩みを言える場所を作るため、学校の外で犬飼と落ち合って話を聞き、犬飼がくつろげる場所を用意することしかできていなかった。
ところがある日、国塚は矢川がいじめの様子を盗撮盗聴するという、相当の覚悟がなければできない行為によりいじめに立ち向かっていることを知り、感銘を受けた。
そしてそれに次ぐようにいじめの様相は少し変化した。柊がもう一度犬飼と共に過ごし、いじめに立ち向かうようになったのだ。
この変化の原因は国塚には分からなかったが、その原因など柊が学校に登校してこない事態が発生してどうでもよくなってしまう。国塚は柊を探しに出て、同じく柊を探しに来たらしい犬飼が柊と一緒にいるのを見つけ、遠くからそれを見守った。そこに田中が現れ、国塚の問題の答え合わせを行うが、その後彼はすぐに走り去ってしまう。
これをきっかけに国塚は両者の親を呼びつけ面談に持ち込もうとするが、そんな折に小杉が国塚の元を訪れ、小杉の話に基づき面談は小杉の家族と学校のみで行われることになった。そしてその舞台で小杉は、母親がかつて抱いたのに忘れかけていた「謙虚に優しく」という想いを取り戻させることに成功した。
こうして加害者側がいじめを起こす理由はなくなり、いじめは終結した。