頑張れ、私。
あっ…。先輩が来た。
「あの…神田先輩。今大丈夫ですか…?」
「おっ、夏希。どうした?わりぃ。後から行くから先行っといてくれ、健太。」
…わわっ。健太先輩に頭撫でられた。
きっと神田先輩と2人で学校帰りに遊びに行く予定だったんだよね…
今でほんとに大丈夫なのかな…?
「あの…今本当に大丈夫ですか?健太先輩、先に…」
「大丈夫、大丈夫。これからカラオケ行くだけだからさ。」
ほんとにいいのかな…。
とりあえず、先輩も大丈夫って言ってくれてるし…。
よしっ、いけっ。私。
女を見せるんだ。斎藤夏希。
「あ、の…。先輩のこと…前から好きでした。」
よし、このままだ。
このまま、ラストまで頑張れ、私。
「先輩と付き合いたい…とか、そんなおこがましいこと、全く考えてなくて…。あの…その…これからも先輩のこと好きでいてもいいですか…?」
言えたよっ。私。
でも、勢いで頭下げちゃったから…先輩の顔見えない…。
えっと…。
どのタイミングで頭上げればいいのかな…。
上げる…?
よしっ。上げる。今の私はいつものおどおどした私じゃないんだからいける。
大丈夫。
「あれ…?先輩、顔…」
真っ赤。
もしかして、熱中症?
もしかして、私変なこと言った?
それで笑いこらえるのが大変になっちゃって、真っ赤とか…?
えっと。どうすればいいのかな?
とりあえずタオル…?
「夏希さ、なんなの?」
…と言いますと…?
あれ…?先輩、ちょっと声が怒ってる…?
「このタイミングで…首傾げるとか…。」
えっ、今、首傾げちゃダメな感じだったの…?
「あっ、いや、そういう意味じゃなくて。夏希、へこまないで。」
そういう意味じゃないって…。
じゃあ、どういう意味なのかな…?
「くそっ。こんな予定じゃなかったのに…。」
さっきは、緊張してて気づかなかったけど、先輩とこんなに近くにいるの初めてだ…。
いい匂い…。
もう一歩ぐらい近づいて平気かな…?
「えっ。先輩…?」
一歩近づくと同時に腕を引っ張られて、抱きしめられちゃったよ…。
どうしよう…いい匂いすぎて…。
どきどきしちゃう…。
「夏希、聞いて…。」
わ…。
先輩の息が耳にかかるっていうか…声が直に届くっていうか…
私、大混乱中だよ…。
誰か、助けて下さい。
えすおーえす、えすおーえすですよー。
「さっき、言おうとしたのは…夏希がかわいすぎだってことで…。」
か…かわいいだって…
先輩に抱きしめられて、かわいいとか言われて…。
なんか…夢みたいなんだけど…。
「だから…何が言いたいかっていうと…それはだな…。えっと…」
えっと…?
「夏希が好きなんだよ。だから、俺と付き合って下さい。」
えっ…。
いま…。
いま…。
先輩…なんて…言った…?
す…き…?
聞き…まちが…
「夏希のことだから、きっと今聞き間違えとか思ってるかもしんないけど…本当にお前のことが好きなんだよ…。」
…先輩、実は、エスパーですか…?
そんなことより、好きって、そういう好きだよね。
この場面で、ライクってないよね?
ちゃんと…ラブの方なんだよね…?
よしっ。
いけっ。私。
本日二度目の踏ん張りどころだ。
「…先輩。よろしくお願いします。」
初めて短編を書かせていただきました。
ずっと告白する場面書いてみたいなと思っていたので、今回自分もどきどきしながら書きました。
夏希ちゃん、神田先輩、気づいてないけど…
健太先輩この一部始終、ずっと見てました。
健太先輩だけではありません。
部活のみんなも、です。
なぜなら、
これは、部室の前の出来事なのです…。
夏希ちゃん一生懸命で場所とか考える余裕なかったみたいです…。
初めての短編なので、よろしければ感想、アドバイスなどいただけたら、喜びます。
読んで下さってありがとうございました!!