第四話
とあるビルの屋上に私達はいた。私とコウ、ホタルは三角形と円、不可思議な文字で作られた魔法陣の中で腰に下げた刀を抜刀し三角形の頂点に突き刺す。
「さぁーて始めますか」
とコウの言葉をきっかけに私達は澄んだ声で紡いでいく。
【我ら三人の魔力を糧に
この世界に巣食う
闇と光を洗い出せ】
〝探査魔法〟
澄み切った声は遠く、遠くまで響き渡るその声を追いかけるように地面に描かれた魔法陣から光が放たれ世界に広がっていく。光は波となって街中を走っていき、やがて波は戻ってきて私達に情報を伝える。
「ん、この反応ってあの二人だよねリンカ」
私は少しだけ顔に戸惑いと悲しみを浮かべコウの言葉に頷き答える。
「ええ、あの二人の気配で間違いないわ」
そこで私は一度言葉を切り、遠くを見つめるように目を細め語りかけるように呟く。心の一部を吐露する。
「あなたの望まなかった最悪の展開になってきたよ。だけどそれを喜ぶ私がいることを許して」
「リンカさん、今は悲観に暮れる時間はありませんよ。最悪の結果にならないために私達は動かなければなりません一分一秒も惜しい状況なのですから」
ホタルがやんわりとした口調で過去に跳んでいた私を現実に引き戻す。私は深いため息を一つ吐き、気を引き締めるために両頬を叩く。
「それじゃ行きましょう。あの子の望んだ未来と私達が望む未来のために」
私はすぐに気持ちを切り替え引き締める。更なる最悪を回避するために。
「そうだな。あいつのためにも頑張らないとね」
「ええ、約束は守らないと女が廃ると言うものですからね」
私達は飛ぶ。約束を守るために、思いを繋ぐために今、希望の二人の元へ向かう。
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