0-1 白と黒の国で~
石造りの薄暗い一室の中心に俺は立っていた。
意識を床に描かれている魔法陣に集中し強くイメージする。
炎と鈴の様に打ち響く槌と鋼。そして美しく、鋭く輝く刃をっ!
「はあっ!!!」
内に秘めた力を気合と共に声に発する。すると魔法陣が光り輝き、石室を埋め尽くす。
光が止むとチリンと金属音が聞こえた。聞こえた先にはこぢんまりとしたナイフ?らしきものが転がっていた。
「………はあっ。やっぱりこれか」
ナイフ?を拾い上げ薄暗い天井に翳す。でもまあ、小さいとはいえ成功は成功だ。
「さてと、今日もお仕事頑張りますかね」
石室の扉を開けて外にでる。魔法陣から出た光よりも眩しい光が視界を覆う。思わず目を閉じたが、それもつかの間。ゆっくりと目を開けた先にはキラキラと輝く白銀が広がっていた。
「寒いな…。もうここに流れついて半年か」
さくっと新雪に足跡を残しながら俺は歩いていく。今、俺が生きていかなければいけない世界で。
………あ、自己紹介遅れました。俺、暁 昴って言います。生粋の地球人で日本人です。
ひょんなことから異世界《アヴァロン》に飛ばされて、白と黒の国ノースドウッドで魔法遣い(見習い)やっています。