転校生
ピピピ…ピピピ…。
窓からそっと光が差す静かな朝に目覚まし時計がなる。蒼井 修はそれを無意識に止めると、再び暖かい布団の中にもぐりこんだ。
──7時30分。
「修、朝よ! 早く起きなさい! もう遅刻するわよ!」
意識がだんだん戻ってきた修は叫ぶ女性の声が聞こえた。母だ。
(そうだ! 今何時だ?!)
急いでに時計を目をやる。
──7時31分。
(やばい!早く起きないと!)
修はベッドから飛び出して自分の部屋をでた。
「おはよう」
目をこすりながら父の弁当を用意する母にいう。
「おはよう。まったく毎日叫ばないとおきないんだから。もっと自分でおきれるようにしなさいよ」
朝から母にいわれるとなんだかむかむかするが、自分が悪いのでだまって顔を洗いにいく。そしてマーガリンを塗った半焼けのパンを口にしながら制服に着替える。
慌しく準備を終えると、バッグを用意して家から飛び出した。
「いってきます!」
修の通う中学校は家から15分程度あるいたところにある。開校してから50年近く経つが、校舎は立派なもので歴史と時間の雰囲気が漂う。
修が自分の教室に入るとクラスメイトはほぼ席についていた。先生はまだ来ていないらしい。
修の席は一番後ろの右端なので教室の後ろから入って席に着いた。ちなみに修は中3だ。
「おはよう、恭介」
修は前の席の友達 恭介 に話しかけた。
「やあ、またギリギリだね」
恭介が目のない笑顔で言った。恭介は目が細く、笑うと目がなくなる。背は修と同じくらいでいつも修と話している親友だ。しかも優しく穏やかな性格なのでみんなと仲がよい。
「うるせーな。てかさ、転校生が来るって本当か?」
「うん、本当らしいよ。しかも可愛い女子なんだってさ!」
「なーんだ。女子かよ」
修と恭介は最近耳にした、今日この学校に来る転校生について話していた。
「あれ、興味ないの?」
恭介が探るように言う。
「別にー」
「本当は気になってるんでしょ」
「な、なんでだよ。お前の方が気になってるんじゃねーのか」
修は心のうちを読まれたような気がして焦る。
「僕はほら、修みたいにイケメンじゃないからさ」
「な、なんだよお前。もっと自分に自信もたなきゃやっていけねえぞ!」
修は頭こそ良いわけではないが顔は学年1を争うくらいのイケメンだ。当の本人はあまり女子には興味なく告白されてもすぐ振ってしまうという珍しい男だ。
そう話しているうちに担任が教室にきた。
「さあみんな聞け。突然だが今日から新しい仲間がまた1人増える。仲良くしてやってくれ。
じゃあ、入って」
きびきびとした口調で先生がそう言い終わると、教室の外で待っていた転校生が教室に入って来た。
修は心底新しい仲間を楽しみにしていた。
転校生は教室に入ると、黒板の中央でみんなに顔を見せて言った。
「はじめまして、今日からこのクラスに新しく入る長沢 可憐です。よろしくお願いします」
とても品のある口調でそういうと、不安ながらも礼をした。
すると他のみんなは拍手をおくり歓声をあげた。
そう、彼女はとても可愛らしく、美しさを兼ねそろえた美貌であった。特に目はとてもくっきりしていて印象的だ。また髪は肩にかかるくらいで、黒髪のよく似合う少女だった。しかし、日本人の特徴とは少し違う不思議な雰囲気を持っていた。
「じゃあそこの席を用意しておいたから、とりあえず座って話を聞いてくれ」
担任がそういって指を刺したのは修の後ろにあった空席の机だった。
(もしやとは思っていたが本当にこの席にくるとは!)
そうして可憐は後ろの席へ歩きだした。
修はすでに心を打たれていた。今まで感じたことのない、繊細な気持ちが生まれた瞬間であった。
そして修が歩いてくる可憐に目をやっていると、可憐は吸い込むような目で修を捉えた。
一瞬目があった2人は恥ずかしそうに目をそらした。
可憐が席に座ると担任が話をし始めた。が、修の耳にはなにも入ってはいなかった──。
はじめまして。桜泉です。
これから頑張って小説を書いていきたいと思います!
いつもの自分にはないアイディアを出していこうと思っていますので、
話の展開やイメージが変に感じることもあるとおもいますが、読んで感想をいただけたら幸いです。
またストーリーだけでなく、読みきったときにはこの小説の主要も理解していただけたらいいなと思います。よろしくお願いします。