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Zero、はじまり
「朝だ…」
目を空けた瞬間、空気が重かった。
古い家特有の、湿った匂い。
廊下はやけに長くて、壁には色褪せた花の絵が並んでる。
ーーーダリア。
朝は決まった時間に鐘が鳴る。
それが朝なのか夜なのかは分からない。
だりあの家には空がないから。
廊下はいつも同じ長さで、
何度歩いても終わりが変わることはない。
壁の花の絵は増えたりも減ったりもしない。
昨日との違いを見つけるのは難しかった。
「おはようございます…」
眠そうな声のまま食道に行った。
そこにはたくさんの家族がいた。
ほんとの家族ではないとは知らずに…
食事は出る。
味は薄く…名前のない料理。
でも、これ以外を私は知らない。
ここには先生がいる。
三人
皆優しい。
叱ることもあるけど、殴られたりはしない。
だから、私はそれを「普通」だと思っていた。
外に出たいと思ったことはあまりない。
だりあの家しか知らないからね。
運命の歯車が回りだしたのはこの日だった。




