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ピンクカプセルが紡ぐ未来  作者: つきや
Pink Capsule Universe 01:君と僕の子供たち
4/30

PCU-01-03 お見合い①

 週末。

 達希は指定されたカフェへ向かった。

 テーブルには、すでに一人目の男性が座っていた。


 ──爽やかイケメン。

 プロフィール通り、雑誌から飛び出したような整った顔立ちに、白シャツがよく似合う。

 笑顔も営業スマイルのように完璧だ。


「はじめまして、高月さん。プロフィール、見ました。すごく、いいですね」

「……あ、どうも」


 慣れた手つきで差し出された名刺には、大手企業の名前。

 話をしてみると、彼は“出産組”との結婚契約をビジネスの延長くらいに考えているようだった。


 ──なんか違う。

 そう思った頃には、もうコーヒーも飲み干していた。


 


 二人目──年上ダンディ。

 スーツに渋い時計、香水も上品。

 会話も落ち着いていて、優しさが滲み出る。


「出産組の方とは、穏やかな家庭を築きたいですね」

「穏やか……ですか」


 だけど、その優しさの中には、妙な“支配欲”が透けて見えた。

 口調も手つきも、妙に“親切すぎる”のだ。


 ──これも違う。

 胸の奥が冷めたまま、二軒目の店を出た。


 


 三人目──筋肉バカ。

 見た目はガチガチのスポーツマン、開口一番。


「俺の子供、絶対健康だぞ!」

「は、はぁ……」


 プロテインバー片手に、育児プランまで筋トレとルーティンで語り出す。

 人生の全てがジム基準。子育ても筋トレ理論で鍛えるつもりらしい。


 ──無理無理無理。

 筋肉の話題が止まらないまま、強制終了。


 


 四人目──童顔キラキラ系。

 カフェに現れた彼は、写真よりも実物の方が幼く見えた。

 目の前で「よろしくね」と微笑む顔を、達希はじっと見つめる。


 ……やっぱり、こいつ


 同じ高校の隣のクラスにいた、例のあいつ。

 思い出した瞬間、向こうも気付いた。


「……あれ? 達希、だよね?」


 最悪の偶然。

 お見合い席で、クラスメイトと再会するとは思わなかった。

 お互いバツの悪い沈黙。


「マジで、お前、種付け派……?」

「……ああうん。達希は出産組?」


 同じ学校出身で、見合いで出会う。

 似たもの同士のはずなのに、なぜか会話がすぐ途切れた。


 ──なんだこれ、気まずすぎる。


 


 五人目──どう見ても詐欺師。

 スーツは微妙にサイズが合っておらず、腕時計は偽物感が漂う。

 笑顔も営業トークもどこか安っぽい。


「君の幸せを保証するよ! 一緒に素晴らしい未来を築こう!」


 胡散臭さが、もはや服を着て歩いてるレベル。

 何か契約書を出される前に、逃げるように店を出た。



 ……一巡したあと、達希は自室のベッドに突っ伏した。


「……どいつもこいつも、まともじゃねぇ」


 ため息まじりにスマホを見れば、アプリには冷酷な文字。


 ──お見合い第一陣終了。次回マッチング準備中。


「勘弁してくれよ……」


 ピンクカプセルの服用期限まで、残り2ヶ月と24日。


──次回は親友、玲の反応とお見合いパート2?!

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