PCU-01番外編③ お幸せに
子供たちも少し大きくなってきました……。
番外編、どうぞ!
<愛情ぎっしり朝のお弁当>
朝5時。
目覚ましより先に、誰かの泣き声で目が覚める。
「……おい、もう朝か?」
寝ぼけた玲が布団の中から声を漏らす。
「まだ夜の続きだろコレ……」
晴翔もため息まじりに体を起こした。
リビングでは、達希がすでにエプロン姿。
髪ボサボサのまま、炊飯器の蓋を開けて、ごはんの香りに「よし」と小さくガッツポーズ。
「今日はミニトマト入れていい?」
「絶対入れろ、彩り担当だ」
「ウィンナーはタコ型で」
玲がコーヒーをすすりながら指示を飛ばすと、晴翔がフライパンで卵焼きを巻く。
「僕、卵巻き職人?」
「昨日焦がしてたくせに」
達希はおにぎりを握りながら、並んだ子どもたちの水筒の蓋をチェック。
「蓋、ちゃんと締めてよ。前みたいに鞄の中で洪水事件になるから」
「まじで? それまた俺のせい?」
「うん。玲が前回やらかした」
おかず箱には、ウィンナー、卵焼き、きんぴら、ミニトマト。
達希がラップで包んだおにぎりに、最後、海苔で小さく顔を描く。
「……あいつら、こういうの好きだよね」
玲がふっと笑った。
「好きなくせに、食べる時は速攻顔からかじるんだよな」
晴翔も苦笑い。
子どもたちのリュックに詰められた愛情ぎっしりのお弁当。
玄関に並んだ靴、小さな靴、大きくなった靴。
今日もきっと、どこかで
「パパたちの弁当、世界一!」
そう言って笑ってくれる。
——そんな一言のために、早起きはやめられない。
<今日は特別、遠足日和!>
朝4時半。
いつもより早いのに、子どもたちはテンションMAXで飛び起きた。
「ねぇ! お弁当できた!? おやつ買った!?」
「パパたち起きてる!? 準備できた!?」
寝ぼけ眼の玲が、ソファで毛布にくるまりながら答える。
「できるわけねぇだろ……まだ夜中だわ」
「いや、もう朝だぞ?」
晴翔は眠そうな目をこすりつつ、達希にキッチンのエプロンを渡した。
「ほら、隊長。今日のお弁当係はあんたです」
「え、隊長なの?」
「当然だろ、君のお腹から出てきた子たちのイベントだし」
達希は笑いながら炊飯器を開け、玲は子供たちのリュックに水筒やおやつを詰める。
「リュック重すぎだろ、これ」
「遠足は荷物も想い出も重いんだよ」
晴翔は卵焼きを丁寧に巻きながら、いつものミニトマトをそっとパック。
達希は、おにぎりを握りながら名前シールをペタリ。
「よし、お弁当完成!」
「よーし、おやつ持った! 水筒よし!」
「帽子よし! 迷子防止GPSよし!」
玄関で整列する子供たちを前に、三人は最後にぎゅっとハグ。
「楽しい一日にしておいで!」
「いっぱい写真撮ってこいよ!」
「パパたち、お迎えで待ってるから!」
玄関のドアが開き、元気よく飛び出していく子供たちの背中を見送りながら、玲がぽつり。
「……あいつら、もう背、伸びたな」
「帰ってくる頃には、お土産話でまたうるさいだろうな」
晴翔がコーヒー片手に微笑んだ。
達希は窓から、見えなくなった子供たちの背中をずっと見つめた。
「こういう日が、一番幸せだね」
<おかえり、遠足探検隊!>
夕方、駅前のロータリー。
日が傾いて、少し肌寒くなり始めた頃——。
「いた!パパたち!!」
ランドセルより大きなリュックを背負った子供たちが、駆けてくる。
達希は両手を広げて、順番に一人ひとり抱きしめた。
「おかえり!楽しかった?」
「すっごく! お弁当おいしかった!」
「おやつ交換もした!」
「カエル捕まえた!」
「いや、それ持って帰るな!!」
玲が慌ててビニール袋を覗き込む。
「めっちゃ跳ねてんじゃん……」
晴翔は頭を抱えながら、子供たちのリュックを受け取る。
「これ、石詰めてきたの?」と思うほど重たい。
「写真、いっぱい撮ったよ! はい、これ!」
子供たちはスマホを渡し、写真フォルダには、ピントのずれた笑顔や変顔のオンパレード。
「……上手く撮れてないけど、楽しさだけは伝わるな」
玲が苦笑し、晴翔は子供たちの頭をくしゃくしゃ撫でた。
帰り道、手を繋いで歩く子供たちは、まぶたがとろ~んと重たそう。
家に着く頃には、全員スヤスヤの寝落ち状態。
ベッドに寝かせたあと、達希はリビングでぽそり。
「……思い出の分だけ、家族が濃くなるね」
玲と晴翔は、静かにうなずいて隣に座る。
「明日は、写真現像して、アルバム作らないと」
「タイトルは?」
達希は笑顔で答えた。
「『はじめての大冒険』——だね」
<夜の夫夫夫会議は、甘い予感>
子供たちが寝静まった夜。
リビングは、静けさと、湯沸かしポットのカタカタ音だけ。
ソファの上には、達希がブランケットをかぶって座っていた。
玲と晴翔は、その両側に挟まるように寄り添って、夜の会議がスタートする。
「……で。次は、どうする?」
玲が、ため息まじりに聞く。
「子供、四人。家も庭付き。生活も、だいぶ慣れてきたし」
晴翔が、湯呑みをテーブルに置く。
「そろそろ……また、かな?」
達希は、小さく微笑んで、自分のお腹を撫でた。
「また、家族が増えるの……楽しみだね」
玲は、目尻をゆるませて、達希の額にキスを落とした。
「やっぱ俺、欲張りなんだよな。達希が子供抱いてるの見ると、また欲しくなる」
晴翔も優しく手を重ねる。
「俺も。……でも、達希の体も大事にしないと」
「大丈夫。みんなで育てるんだもん」
達希は照れたように笑い、玲の胸元に顔をうずめた。
「家族が増えるたびに、僕たちも強くなる気がする」
晴翔がぽつりと呟き、玲はふわりと腕をまわす。
「そうだな。システムの思惑なんか、知ったこっちゃない」
「うん、だって——俺たちが選んだ家族だもん」
静かな部屋で、三人の温もりが重なる夜。
ベッドルームのドアの向こうから、小さないびきと寝息が聞こえていた。
次の日、カレンダーには新たに「妊活スタート」の赤丸がつく。
幸せの輪は、まだまだ、広がり続ける。
<甘く、とろける夜——妊活スタート>
ベッドルームは、やわらかな灯りに包まれていた。
白いリネンの上、達希は玲と晴翔に挟まれるようにして横たわっている。
「……達希、緊張してる?」
晴翔がそっと頬に触れると、達希は小さく首を振った。
「ううん。嬉しい……だけ、だよ」
玲がふっと笑い、達希の手を握りしめた。
「なあ、達希。ちゃんと、感じて? ……俺たち、達希のこと、めちゃくちゃ大事にしてるから」
耳元に囁かれる声に、達希の胸がきゅうっと熱くなる。
晴翔も、優しく達希の髪を撫でながら、唇を落とした。
「ゆっくり、いこうね」
達希は、玲の胸にすり寄り、晴翔の手をぎゅっと握り返した。
二人の温もりが、体の奥まで染みわたる。
玲が、そっと達希の服を脱がせる。
晴翔も、丁寧に肌に触れながら、何度もキスを落とす。
指先も、唇も、ぜんぶが優しくて、涙がにじみそうになる。
「……達希、可愛い」
玲が、低く甘い声で囁く。
晴翔も微笑んで、額を寄せた。
「ずっと、大事にする。……何回だって、好きになる」
三人の体温がゆっくりと重なり、世界がとろけるような甘さに満たされる。
達希は、愛される喜びに震えながら、ふたりの腕に包まれていた。
「また、家族、作ろうな……」
玲が、震える声で達希の耳たぶに囁く。
晴翔も、そっとお腹に手を当てて、微笑んだ。
「達希が幸せなら、それが一番だよ」
心も体も、めいっぱいに満たされる夜。
小さな生命を迎えるための、特別な夜。
やわらかな灯りに、三人の影が重なる。
達希は、玲と晴翔に挟まれ、震える肩を抱かれていた。
ふたりの手は、優しく、でも逃さないようにしっかりと、達希の体を撫でる。
「ん……っ、ぁ……」
玲が、達希の首筋に舌を這わせる。
晴翔は、ゆっくりと指を絡めながら、達希の手の甲にキスを落とした。
「可愛い……達希、もっと聞かせて」
玲が甘く低く囁くと、達希は恥ずかしさに目を閉じた。
それでも、ふたりに抱きしめられるのが、心地よくて、涙がこぼれそうになる。
「っ……だ、だいすき……っ」
か細い声が、漏れる。
その瞬間、玲も晴翔も、堪えきれないように達希をぎゅっと抱きしめた。
「俺も……達希、大好きだよ」
「ずっと一緒にいたい。……絶対、離さない」
玲が達希の脚をそっと開き、晴翔が両手で抱き寄せる。
ゆっくりと、確かめるように、ふたりは達希を愛していく。
吐息が交じり合い、熱が肌を濡らす。
何度も何度も、名前を呼び合いながら、深く、深く、結ばれていく。
「っ、ん……!」
達希の指先が、玲の背中を掴む。
晴翔も、必死に達希の手を握りしめた。
体も心も、ふたりに満たされて、溶けてしまいそうだった。
「達希……っ、達希……」
「愛してる……愛してるよ……」
何度も、何度も、達希に想いを注ぐふたり。
夜は、甘く、熱く、更けていった——。
*
そして、朝。
カーテンの隙間から、やわらかな朝日が差し込んでいる。
ベッドの上には、絡まるように眠る三人。
玲の腕の中で、達希はすやすやと寝息を立てていた。
晴翔も、達希の髪を優しく撫でながら、微笑む。
「……頑張ったね、達希」
玲がそっと、達希の額にキスを落とす。
「すっごく、可愛かった……ほんとに、大好きだよ」
晴翔も、愛おしそうに呟く。
達希は、うっすら目を開けた。
「……ん、あさ……?」
眠そうな声に、玲と晴翔はたまらず、もう一度、キスを落とす。
「うん。朝だよ。俺たちの、家族が、また増えるかもしれない朝」
達希は、ゆっくり微笑んだ。
玲も晴翔も、その小さな微笑みを、心から大切に包み込んだ。
今日もまた、幸せが、静かに始まっていく。
三人で作る、新しい未来へ——。
番外編 完結
ここまで読んでくださり、ありがとうございましたー!
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本当にありがとうございましたー!!




