PCU-04-02 エリオ②
【リベリオン第二段階――潜入作戦】
エリオたちの反乱軍は、
夜の闇に紛れて動き出した。
目標は、システム管理局の地方拠点。
そこには、膨大なデータベースと、
選別アルゴリズムの一部が保管されている。
「まずは敵を知る。
この世界を操ってる奴らの、心臓を探るんだ。」
エリオの声に、皆が頷く。
――負けたら即死刑。
――バレたら即粛清。
それでも、
彼らは一歩を踏み出した。
潜入は、
まずミナトの工作から始まった。
種付け派として自由に出入りできる権限を、
偽装コードで拡張し、
夜間のセキュリティを一部オフにする。
「30分だけ、通路の監視が止まる。
その間に潜り込め。」
ミナトは冷や汗を流しながら、
端末を叩き続けた。
ナユタとハルカは、警備兵の制服を盗み、
自然に紛れる役割を担った。
エリオは――最前線。
情報サーバー室に侵入し、
データを奪取する任務だった。
管理局の廊下。
無機質な白い光の中を、
足音を殺して進むエリオたち。
耳には、ミナトの声。
「次の角、右だ。
警備パターン変更、カウントダウン、あと……25秒。」
ハルカが、拳銃を隠し持った手を握りしめた。
(来いよ、システムの犬ども。)
しかし。
警備兵は来ない。
ミナトのハッキングが、完璧だった。
エリオは、
サーバールームの冷たいドアに指をかけた。
電子ロックを解除する。
心臓の鼓動が、うるさい。
――カチャ。
静かに、扉が開いた。
【サーバールーム】
そこは、想像以上の情報の海だった。
巨大なタンク。
生体データ。
交尾記録。
出生管理。
カップル選別プログラム。
律と透真の記録も、ここにあった。
「反抗因子:要監視対象」
「遺伝的異常:愛情遺伝子活性化」
エリオは、手が震えた。
(やっぱり、最初から……!)
システムは知っていた。
"愛"というものが、どれだけ危険かを。
だからこそ、愛を持つ個体は「異常」として分類され、
淘汰されてきたのだ。
「エリオ、急げ!残り15分だ!」
ミナトの声が飛ぶ。
エリオは、
律と透真の記録だけでなく、
他の"異常個体"のデータも全てダウンロードした。
(同志になりうる奴らが、まだ……いる。)
希望は、絶対に無駄にしない。
帰路。
監視ドローンの赤い目が、廊下を舐めるように動いている。
ナユタが小声で指示した。
「……壁沿い。死角を進め。」
エリオたちは身を低くし、
ドローンの視界をすり抜ける。
あと少し。
あと少しで――!
「――侵入者、発見。」
機械の声が、
廊下に鳴り響いた。
ミナトが叫ぶ。
「走れ!!!!!!!!」
銃声が、響いた。
警備兵が飛び出してくる。
ハルカが即座に応戦。
ナユタもカバーに回る。
(こんなところで死ねるか!!!!)
エリオはデータを抱え、
全力で走った。
出口の扉が開く。
ミナトが待っている。
「こっちだエリオ!!!!」
全員が飛び込む。
直後、
後ろで爆発音が響いた。
【拠点、帰還】
エリオたちは、
ボロボロになりながらも、データを持ち帰った。
ノートPCの画面に、
赤く警告が点滅している。
《異常個体数:計112名》
《潜伏中:45名》
《行方不明:12名》
《反乱因子レベル:上昇中》
エリオたちは、顔を見合わせた。
「……やれる。」
ミナトが笑った。
「仲間は……いる。」
ナユタが涙をこらえながら拳を握った。
「俺たちは、一人じゃない。」
――夜明けが、近い。
【潜入作戦:完了】
【次フェーズ:感染拡大――愛の伝播】




