PCU-01-Epilogue
「オムツがない!!!」
「ミルク足りねぇ!!!」
「起きてまだ5分なんだけど!!」
朝6時。
マンションの一室で、もはや日課となったバトルが始まった。
晴翔は泣き叫ぶ赤ん坊を片手に抱えたまま、キッチンでミルク用のお湯を沸かす。
玲はリビングで、オムツを逆さにはかせて達希に怒鳴られる。
「逆だよ逆! お尻がこっち!!」
「知らねぇよ! 昨日お前が畳んだ時に裏表バグってたんだろ!」
「俺のせいかよ!」
達希が洗濯機から、まだ湿ったベビー服を取り出してくる。
「乾いてない……もうこれでいいや。ほら、玲! 着せて!」
「着せる前にミルク作れや!」
三人の声に負けじと、赤ん坊たちは全力で泣き叫ぶ。
まるで「お前ら何年やってんだよ!」とでも言いたげに。
日中は日中で、役所の手続きやシステムから届く書類確認に追われ、
帰宅すれば、子供の世話が待っている。
「また増えるんだろ?」
玲がぽつりとつぶやく。
「うん。……次は、双子だって」
達希が、少し照れたように笑った。
その双子は、玲と晴翔の子。
同時に交配して授かった命。
達希は愛おしそうに自分の腹をさする。
その背後から、玲がそっと腕を回した。
「システム、ほんと悪趣味だよな」
晴翔はソファに寝転がり、手を伸ばした子供に顔を叩かれている。
「悪趣味だけど、命は止められない」
達希は、寝息を立てる子供の頬を指先でなぞった。
「家族ってさ、意外と——しぶといもんだね」
夜、眠る子供たちの横で三人は床に座り、静かに体を投げ出した。
隣室から、システムが新たなマッチング通知を鳴らす音が小さく響く。
けれどもう誰も、画面を確かめることはなかった。
「……さ、明日も戦争だぞ」
玲のその一言を皮切りに、三人は声もなく顔を見合わせて笑った。
泣き顔も、笑い顔も、怒鳴り声も——全部ひっくるめて「家族」になった。
それが、システムが用意した未来。
だけど——選んだのは自分たちだった。
<Pink Capsule Universe 01:君と僕の子供たち 本当の完?>
登場キャラ
<出産組>
髙月達希
年齢:18歳
職業:主夫
<種付け派>
小川玲
年齢:18歳
職業:フリーライター
結城晴翔
年齢:18歳
職業:会社員




