プロローグ
28XX年。
長い戦争とそれに続く大規模な疫病によって、全人類の人口はほぼ壊滅的に減少し、残されたのは地球上のわずか数百万人に過ぎなかった。
さらに追い打ちをかけるように、女性が突然、世界から姿を消した。
科学者や国際的な調査機関は原因解明に奔走したが、どんな手を尽くしても理由はわからず、世界は絶望的な静寂に包まれた。
それでも人類は、生き延びる道を模索した。各国は存続をかけ、急遽「子作り技術」の開発に乗り出す。
やがて完成したのが、ピンクカプセル。
これにより、男性でも妊娠が可能となった。
だが――妊娠しても、生まれてくるのは必ず男だった。
XY+XY。女性がいなくなった世界では、どんなに努力してもXXの遺伝子は生まれない。
やがて世界は、人間の手ではなくシステムによって管理されるようになった。
社会のルールも、役割も、未来さえも――全てシステムが決める時代。
成人した男は、システムによりふたつの役割に選別される。
【種付指定組】と【出産義務組】に。
これは、そんな Pink Capsule Universe の物語。
──そして、世界は再び動きはじめた。