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可愛い彼は何者なのかーーー?


昨日は散々な目にあったな…。


まさか三神君が宙の事が好きで、感度5000倍であれやこれやをしたがっていたとは…(大いなる勘違い)


なんやかんやあっても、授業にでないと将来に響くのでそこは気にしないように努力しながら勉学に励む。

三神くんも宙も私も同じクラスなので気にしないようにとは無理があるけどね…。


それにしても、人類の約半数を殺した宇宙人がクラスメイトに2名もいたなんて誰が想像するだろう?


ロマンチストな触手ヤンキーと無感情なそれっぽイケメン(ひどい言い草)か…そちら側の星で出会ってくれれば巻き込まれること何てなかったはずなのに。


「はあ…」


ため息をついても仕方ない。現状も感度も漆黒の瞳も健在なのだから、問題は続いている。


私は、今日は何も起こりませんようにと神様に祈ったーーー。









「華、ちょっとだけ時間いいか?」


やっぱりね、あんたらのどちらかは来ると思ってました。

でもね、三神くん、君はとてつもなくモテるんだよ?

せめて話しかけるなら教室以外にしてくれないかな?

ほら…女子達の嫉妬の視線が刺さるからさ…。


「ごめん、ちょっと用事あるから」

「何よあの子…光一の誘いに乗れないっていうの!?」


!?


へ?


「何であんな平凡な子が光一の誘いを断れると思うのかしら?」

「ちょ、ちょっと…」


いやいやおかしいでしょ!?

ここは普通…『あんたなんか光一に近づかないでー!!!』キー!!!


ってなるのがセオリーでしょ!?

むしろ背中押してどうすんのよ!?!?!

性格いいのか悪いのか分かんないんだけども!?


「そういう事だから…ね?」

三神くんはぎこちなく、でも含みのある笑顔を見せてきた。


そういえば、宙も地球人の皆にクラスメイトだと思われるようにしてたなぁ。


つまり、ある程度人の思想を捻じ曲げられるって事なのか。


少し切なそうな表情で期待の眼差しを向ける三神くんの背後にぶんぶんと犬の尻尾が見える。


彼はもっと怖い人だと思っていたけど、平気で周りの思想を変えちゃうあたり、別ベクトルの怖さがあるように思えた。


「用事って…俺着いてっちゃダメなのか?」


「くっ…!さっさと連れていきなさいよ!」

「ホントに…早く行ってくれないかしら?!」


いや…怖いというよりシュール…?


どう対処すればいいのか考えあぐねていると、誰かにパシリと手を引かれた。


「なっ…!?」


「華は俺と用事がある」


「ないけどね…(ボソ)」


分かってました。二人の嫉妬に巻き添えを食らうのは(かなり大いなる勘違い)


用事なんてないんですけどね、学生って意外と教室以外に用ないんですよね。


「ひっ…」

三神くん、その眼光だけで私死んじゃいそうです。


三神くんは一度「お前殺す」の顔をしたあと、急ににこやかな笑顔になった。

今度は何?!怖いんですけど!?


三神くんは私の空いてる手をガっと掴んだ。

一瞬三神くんが頬を赤らめてゾクッとするような表情になった気がしたけど…気のせいだよね?


「おーい!ひでぇなあ!?一緒に先生の頼まれごとするって約束だろぉ!?」

「お前に用は…」

「もー(苦笑い)二人とも喧嘩はいいからさっさと行くよー(怒)」


面倒くさい…。


「あ、ちょっと華…」

「…」


私は二人の腕をこれでもかとグイグイ引っ張った…。

この訳の分からない現状を周りに見せたくない。

私は目立ちたくないのに…!!


「あ〜かわいい。何でそんなにかわいいの?」

「…髪が近い」


いやだなあ、今二人の顔みたくないやあ……。

面倒な予感しかしないやあ…。



三神くんキャラ崩壊が激しいなあと思いながら、とにかく人目につかない場所までズンズンと足を進めた…。


二人が宇宙人のおかげで、印象操作された周りの人間にはそんなにおかしく見えてないようで良かったけど…。




「…なにあれ?」


あの三人、あんなに目立つことしてるのに何で誰も気にとめないの?


「う〜ん?あ!そっかあ!」


僕、気付いちゃったあ!!☆


「あの三人殺そ。」

















何か起きた時は大体階段下に集まれば何とかなる。

なんてことは無い。


私は今なぜか三神くんに抱きつかれてそうになっており、宙が片手で頭を押えて三神くんを止めている。

隠す必要の無くなった触手もうねうねと宙を舞っていた。

「あ〜…もう我慢出来ないんだって…」

「我慢しろ」


「あれ?三神くんって宙が好きなんだよね?」

「は!?何でそうなる!?」

あれ?まさか違った…?ちょっと待って…。


途端に宙が抱きついてきた。いや、何故?


「てめぇ!?俺の華に…!」

「俺は華がいい」

「えっ…三角関係ってこと?」

「待て待て待て!華の相関図のイメージ大分こんがらがってるから!?」

「ふむふむ」

「ねえ、ホントに分かってる?(涙目)」


宙に、グイと顎を掴まれる。

「ぐっ、お前ぇえ!!!」


「俺は華がいい」


キラキラとしたエフェクトを飛ばすのは構わないけど、表情がマジで伴ってないんだって!!

あと、もうちょっと言葉のバリエーション増やしなよ!!!


スポン

「飛ばされた」

苛立った三神くんが、触手で宙をぶん投げた…。

「てめぇは触んじゃねぇよ」

嫉妬だ…


しゅるしゅると今度は三神くんに捕まる。


触手で、腕で、丸め込まれ、

三神くんの端正なお顔が目の前に迫ってきた。


「なぁぁお願いだから宙に触らないでくれよぉ…♡」

彼は、本能に抗えない事からヘタレ要素が加わってしまった。

顔を真っ赤に染め、眉を八の字にして、懇願するようにねだる姿は…


「何か犬みたいだね」

「それでもいいよぉ…」


私にここまでして宙に近寄らせないようにするとは…本能とは恐るべし…。


「ちょっと…勘違いしてるけどなァ…警戒されねぇならそれもこっちのもんだろ…」

「何の話…?」


頬にキスされる。

少しだけピリッと電流が脳まで走る。


その少しだけでも、彼の『甘さ』は計り知れない。


「ぴっ!?!?!」

「お仕置だ…あぁぁ涙目やべぇ…♡」


まさか嗜虐心も芽生えたとは…!

彼の言葉の最後にハートがついてる気がするのは気のせいかな…?

ずっと発情しちゃうのは大変だろうなぁ…。


バチッ!?!!!!!!


「ぐっ!?!?!」


バタン!!


え?え?三神くん倒れちゃったんだけど??


三神くんはピクピクとその場で気絶してしまった。


まって、宙がやったの…?


…怒ってる。


いつも暗い瞳をしているけど、今はその比でない念を感じる。


壁に背を預けてへたへたと倒れ込む。


宙はゆっくりと私に近づき、逃げられないように両手を壁に当てた。





こんな表情初めて見た…。


いや、表情は変わってないけど…怒ってるのが痛いほど伝わる。

空気が、痛い。





「ぬるぽぽ星人は危険だから、気をつけろ」

「…は、はい」


「華、お前が誰か他のやつに触れられると、冷静でいられなくなりそうだ」


いや…表情はかなり真顔だけど…。


でもこんなに強い電流で三神くんを一発KO出来ちゃうんだから、ホントに冷静では居られないのかも…。


でも、まって?宙はムヒョ…何とか星人で、感情が0に等しいんだよね?


ってことは、私は彼の希望的存在で、彼の願いを叶えてあげられる唯一の可能性のある人間なのかもしれない。


この星の宇宙人は感情を探すために宇宙を旅するほどに、本能がそれを求めているのだ。

例えそこに本物の愛が存在しなかったとしても…。


冷静で居られなくなったのは、ただの演技かもしれない。それでも彼は見つけたいのだ、真実の愛って奴を。


ぎゅ


「…」


お、思わず抱きしめてしまった…。


「…これは」

「別に…君の願いが叶えばいいなって思って…」


「そうか、俺に恋されたいのか」

「いや、恋されたいとかではなく…」




ドクン…


「ふえっ…?」


あれ?何だろうこの気持ち?

分からない…何だか胸が熱い…。


宙から何か大きなエネルギーが流れ込んで来るみたい…。


何だろう…温かくて、気持ちよくて…。



「華…」


「あれ…?何だろう…?何か気持ちいい…」


頭がふわふわして、何だかよく分からない…。





「悪い…」




ちゅ…




「ん…」





なん…キス…?





でも、何か…気持ちいい…。





ちゅ




ちゅく







「そ…宙…んむ…」


「…」


じゅ…




三神くんから流れてきたエネルギーとは違う、全身が熱に溶かされるような…。


優しくて、何かが重いーーー。







「…ぷはっ」


「…華、好きだ」





好き…?好きって言った?

今まで好きとは言わなかった。


宇宙人なりに一線引いてたんだ。


それが三神くんによって覚醒しちゃったんだ。






だってこれ、もう本気で伝わる。








「だから誰にも渡せない」

「…なるほど」


ドクン


何だか、さっきよりもエネルギーが強くなっている気がする。





「んん…」

「悪いな…力が抑えきれなくて」





力が…抑えきれない?



それって…どういうこと…?








ポン


ハッと我に返る。

宙の方に何者かの手が置かれていたからだ。


「ねぇこれ、どういう状況なの〜?」






宙も、珍しく驚いたようで目を開いていた。




「何かぁ、よく分かんないんだけどね?学校でそんな卑猥な力使っちゃ、ダメ!だよ?」


「く、胡桃くるみ先輩…」


彼は生徒会の書記の…ってそんな事より!


「何故、俺の力を制御できる!?」

「そのまさかだよね。」




バチィッ!!!







薔薇の棘が体を刺すような痛みが走る。


「きゃあっ!?」

体が痛い…それに、なんて冷たい感覚…!?

「その能力、なるほど…ルパンパ星人か」


ルパ…何…?











くるみ先輩はさぞ退屈そうにはぁ…と大きなため息をした。


途端、先程の可愛らしい見た目とは打って変わり、この世の全てを憎悪するかのように表情がぐにゃ、と歪んだ。


「やめてえ!!!そのダッサイ宇宙名!!!僕の星は〇✕◽︎?????…って言うんだ!!!それを何だ!?ぬるぽぽとかムヒョジンとかルパンパとか頭の悪い名前は!?」


「お前を殺す為にここまで来たんだ」


いつの間にか宙は私の前に立ち、その姿は健気に私を守ろうとしてくれているのが伝わった。


「あははは!何それ!笑える!」


「華、こいつの星のヤツが地球人を抹殺したんだ」


「なっ…!?」



こんな、かわいくて全く害のなさそうな人が…!?


「そぉだよ?僕たちは気に入ったものを独占したいんだ?逆らうやつは殺すしかないよねぇ?分かるよね?この気持ち?」



分かるわけないでしょ!!


「っていうかさ、君ムヒョジン出身じゃないね」


「やめろ!!!!!」




な、何…?どういうこと?























「ラウグルーヴ星人のくせに。ってかアイツら感度地球人の15万倍じゃん」



















いま、なんと……?











くるみ先輩は心底驚いた表情へとコロッと変わる、その次はニタァと邪悪な笑みを浮かべた。


「そこの子、可哀想に知らなかったんだぁ?あはは!!コイツぬるぽぽ星人よりだ〜〜〜いぶエッチだよ?♡」





大分…えっち………。












ふと宙を見ると、少し表情を歪めていたが、それよりも誰が見てもハッキリと分かるくらい顔を赤らめていた………。













なるほど…頭が宇宙になったようにぐるぐるする。





つまり…どゆこと?






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