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初めまして、おもにゃっとうฅ⸃⸃と申しますฅ⸃⸃

小説を書くのは初めてに等しく読みづらい点がありましたらスミマセン…!

読んでくださった方に楽しんでいただけるように頑張りますฅ⸃⸃ブックマークなどして下さったら、嬉しくてモチベーションが上がります…!よろしくお願いしますฅ⸃⸃



「初めまして、匿ってくれ」


唐突。としか頭に浮かばない。

人は、ものを頼む時にある程度へりくだって話す生き物だと思っていた。

その時『お願いしてもいいかな?』とか

『やってもらって悪いね』とか、

そういうのが人に物を頼む時の態度だと私は親に教わっている。


「初めまして」

まだ分かる。

「匿ってくれ」

これは分からん。


人は初対面の人間にやすやすと『匿ってくれ』とお願いしていいものだろうか。

もし私がそんな態度をとったら両親に引っぱたかれるに違いない。

いやそれよりも、人の言葉を話すこの生き物はどう見ても カタツムリ にしか見えない。

しかし、よくよく見ると左目がクシャっとしていて、体液も普通のカタツムリよりネバネバ感が強い。

つまりこのカタツムリの個性というのだろうか。


中学生まで伸ばしていたロングヘアを洗うのが面倒くさいという理由だけで、ベリーショートまでバッサリ切ってしまった私に「個性的でいいね」と褒めてくれたクラスメイトも、内心はこんな気持ちだったのだろうか?


もしそうだとすると、すごく落ちこむ。


でもそれよりも、人の机の上でネバネバを撒き散らかされているこの状況の方が、物凄く落ちこむ。というか物凄く不愉快である。

おそらくそのスピードで頑張ってここまで来たであろう痕跡も見える。出来ればそのことには気づかない方が良かったと思う。そう思い、ほんの少しだけ目を逸らしてみた。だが、時すでに遅し。私の『不快感パロメータ』は2ミリくらい縮んだだけで、大した効果も得られず終わった。


「……」


喋るカタツムリはこちらの様子を伺っているのか、ひたすらに無言を貫いている。

匿ってくれと言うくらいなのだから、もう少し焦ったりしてくれた方が私も少しは愛着が湧きそうな気がしなくもないのだけれど…。

いや、今はそんなことより、机の上にカタツムリが乗っているこの状況を先生に見られてイジメを疑われてしまい、学級問題が起きてしまうことを阻止する方が先だ。

いや、それで済むならその方がだいぶマシ。


私は何より、面倒くさい事が心の底から嫌いなのだ。


両手でソレを包み込むようにして教室を後にする。

授業を終えた生徒たちがチラホラと廊下に出始める。


こんな事なら、体育で怪我なんてしなければ良かった。そのせいで早めに教室に帰ってしまい、この生き物と対面してしまったのだ。

いや、逆に誰にも見られなかったからラッキーだったかもしれない。


この生物は誰にも見つかってはいけない。なぜなら、私の命も危険に晒されるからだ。


「おい、そこのブロンドのショートヘアの2年!」


強めの口調に、思わず体が跳ねる。

咄嗟に、手に包んだソレを背後に隠し、お得意の『え?私何かしましたか?』の空気を醸し出す。

あ〜…ヤバい。生徒会長だ。今一番会っては行けない人に会ってしまった…。


解いたら1メートル半はありそうな赤髪を、ポニーテールに結ぶその姿はまさしくジャンヌ・ダルクのよう。

彼女に睨まれればどんな不良もしっぽを巻いて逃亡するだろう。

成績優秀で人望もあり、男にも女にもモテる。まさに学年トップの憧れの存在。私は彼女と比べて何が勝っているのだろうか…。ふと胸に目を落とす、比べるまでもない、完敗だ…。


「私に何か用事でもありましたか?心当たりがないのですが」

余所行きの笑顔を向けながら訊ねる。内心はこのカタツムリについて何か言われるのではないかと思い、心臓がバクバクだ。

「いや、ただ君が目に入ったから声をかけただけだ」

どの生徒にも分け隔てなく接することが出来るのは生徒会長の尊敬される一面だと思う。

でも今はその一面を発揮しないでほしかった…。

私は一刻も早くこの場から逃げ出したい一心だったが、そんなこともつゆ知らず、生徒会長は仁王立ちで私の前に立ちはだかるばかりだった。


「君、宇宙人を見てないか?」

「見てないですね(早口)」


“宇宙人”という特異まれなる存在を口にする生徒会長は、正気である。虚言癖は持ち合わせていない。


そうなのだ。実はこの世界は宇宙人によって世界の人類の6割を失っているのであるーーー。

しかも2年前に。意味が分からないよ…。


大規模な戦争だった。私達は国により機密に建てられた街全体を囲む大型シェルターに守られたので無事だった。

しかし予算が足り無かったのか、シェルターはまばらに設置されており、私はただ運良くシェルターの中にいたのだった。…みんなが助かったわけではなかった。シェルターはバリアのような機能を果たし、その装甲は透明で街の外を見ることも出来た。

私は、ある人のことが気がかりでシェルターの端まで駆けつけた事がある。しかし、その機能はまさしく正常で『出ることも、入 る こ と も』出来ない構造になっていた。


そこからの記憶はあまり覚えていない…。


政府は元より宇宙人の存在を知っていたのか攻防は互角を極めたが、宇宙人達の自爆により人類の4割は失われてしまった。

そこから宇宙人達は姿を見せなくなったが、おそらく休戦をしているだけでいつ地球が襲われるのか、分からないのが現状だ。

ってか人生でSFを経験するとは夢にも思わなかった。


授業に対宇宙人交戦術が増えた頃、生徒会長はとてつもない好成績を繰り出した。その凄さは国が認めるほどにーーー。

まさに主人公、出来れば近づきたくない。面倒だから。ファンクラブもあるらしい。この状況を見られたらファンに睨まれそうだ。


そんなこんなで彼女は私のような生徒が軽々しく関わることすら出来ないような存在なのに、なぜ今私は彼女に目をかけてもらっているのか…今日はツイてないなぁ。


生徒会長は勘が鋭い。


この人は多分本能で生きている人だと思う。

そして厄介なのは、納得するまで仁王立ちをものの一歩も動かすつもりのない事だろう。

彼女は本能で私に何かを感じたのだ。


だとしてもこの状況は非常に不味い。

色んな面で死亡フラグが立ちまくっている。時計の針の音が処刑までのカウントダウンのように思えてきた。

何としてでも、早めに、一刻も早めにここから抜け出さなければいけない。


というか、生徒会長はこんなに出来る人なのに、なぜ空気を読むことは出来ないのか…。神に二物も三物も与えられたというのに、なぜ空気を読むことは出来ないのか…。他の人に配慮した神様なりの補正なのか?


いや、そんな事を考えている暇はない。

私はふっと息を吐き、とりあえず「私ちょっと困ってますよ〜」のような笑顔を見せた。

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