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9 【こぶとりじいさん】
なんとも素晴らしくなんとも残念なじいさんだ。
人間というものは1晩でこんなに変わるものなのか?
昨夜の踊りは見事なものだった。
最初はおっかなびっくりだったのに見事な舞を踊るではないか!
俺の仲間も気に入ったらしくじいさんがまた来るようにとこぶまで預かって楽しみに待っていたのに。
なんなんだ今夜の踊りは、青ざめた顔に体はぶるぶると震えあんなのは踊りとは言えない。
童子の方がまだマシに踊れるだろうさ。
昨日預かったこぶもくっ付けなおして帰らせたけどせっかくの宴も興が冷めてしまった。
人間の踊りを楽しもうとするのは間違いだったのだろうか?やはり宴は鬼同士に限る。
飲みなおそう、あの不愉快なじいさんなど忘れて今夜も宴を行うのだ。