表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/22

3 【浦島太郎】

自分で連れてきておいてこんな風に言うのもおかしな話だが彼はいつまでここに居るのだろう?


確かに彼は私の恩人だ、浜に打ち上げられ子供達にいじめられていた私を彼が助けて逃がしてくれた。この事を乙姫様に話すと恩返しのために彼を竜宮城へ招く事が出来た。

もちろん私は嬉しかった、私自身が彼に返せる恩など知れているからだ。


だが彼が来てひと月が経った、半年が経った、1年が経ったが彼は毎日美味いご飯や魚達の見事な踊りを楽しみ続けて帰る様子がない。

どれほどの時間が経ったのかわかってないのだろう。


そんな生活が続いている時ふと彼が家に帰りたいと言い出した、彼の家に残してきた母親が心配になったらしい。

ここに来た時と同じように帰りもまた私が送っていった、これで彼に会うのは最後だろう。



彼が竜宮城で過ごすようになってしばらく経った頃からずっと不思議に思ってきた事がある。

なぜ乙姫様は時間の違いを彼に教えなかったのだろう?竜宮城の時間と彼等の世界の時間は全く違う。

彼が住んでいた村に戻ったところで彼の家族や友人達はとっくに亡くなっており、もう彼の帰れる場所など無いことをなぜ教えなかったのだろう?


別れ際に渡した玉手箱もそうだ、あれを開ければ彼は一気に老いてしまう。

わざわざ「決して開けてはならない」と忠告をしつつもあれを土産として渡した彼女の真意はなんだったのだろうか?

今頃彼はたった1人で途方に暮れている頃だろう、もしかしたら玉手箱も開けてしまっているかもしれない。


恩を返すというのは本当に難しい、恩を仇で返すような結末になったこの1件は戒めとして私は覚えておかなければならないだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ