12【すっ裸の王様】
まぬけな相手の仕事ほど楽なものはないと思わないか?数日前まで居たあの国は本当に面白かった。
「まぬけな人には見えない世界一素晴らしい服」を作れると話していたらなんと王様から直々に作って欲しいと依頼が来た。
相方と一緒に城へ向かうと早速服作りに取り掛かる、仕事をしているふりだけだが誰も口を挟めない。
「自分がまぬけ」なんて認めたくないつまらないプライドを持つ城の者達は本当に便利だ。
途中で大臣まで見に来たから聞いてやる
「どうです?素晴らしい布でしょう?完成までもう少しです」
面白いくらいに困った顔で見事だと褒めて去っていく。そんなにも本当の事が言えないとはね。
数日後ついに王様がお越しになった、立派な洋服を脱がせて完成した服を着せてやる。もちろん服など作ってないから着せる真似をするだけさ。
王様も困った顔をしていたが周りが口々にお似合いだと褒めるから見えないなんて言えないようで褒美を貰う。
これで用は済んだからたんまりと報酬を貰ってこの国とはおさらばさ!
この後立派な空気の服を着て民達の前で行進するらしいが、この国の連中はどんな反応をするのだろう?
ちょっと気になるけどまぬけな王様達との付き合いはここまで、次はどんなまぬけの所で仕事をしようかな。