1 【赤ずきん】
今になって振り返ってみると自分にも反省すべき事がいくつかあったと思う。
だがはじめてのおつかいで私のような小さな子供1人で森の中にあるおばあさまの家へ行かせたお母さんは言葉足らずだったとも思うのだ。
あの日私は森の中でオオカミさんと出会い、何度も騙され、そしておばあさまと一緒に食べられてしまった。
森で狩りをしていた猟師さんのおかげでなんとか助かったが、あの猟師さんが居なければ私達はあのまま食べられて死んでしまっただろう。
おつかいの途中で寄り道はダメとは注意をされたがあれだけきれいな花がたくさん咲いているのを見たら我慢など出来なかったのだ。
確かに寄り道はダメだと言われたが自分を騙して食べようとするオオカミさんのような危険な生き物が居る事をお母さんは注意してくれなかった。
オオカミさんに行先を聞かれおばあさまの所へお見舞いに行く事を話したのは私だから
口が軽い少女だった、無防備だったと言われればその通りだが、はじめての1人のおつかいならもっと色々注意するべき事があったのではないだろうか?
おかあさんやおばあさん達のような大人達の忠告や経験則は教訓として学ぶべきものだとは思うけど、あの日私に大事な事を1番教えてくれたのは私を騙して食べようとしたオオカミさんだったのではないだろうか。
100の言葉より1の行動、私の事を食べようとしたオオカミさんの行動が私に学びの機会を与えてくれたと思っている。
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