食えない人
「ふんふふーん」
お風呂上がりの髪を労る余暇時間。
メッセージアプリを使い慣れてきた
霊美ちゃんとの至福の時間。
ベッドに仰向けになってスマホを見る。
『今回の依頼どうする?』
すぐに既読がつくが、しばらく待つ。
『人はよく動く生き物で、
桐谷さんはいっそう動くでしょうから、
まずは彼女を動かさないことが大切ね』
『動かないよう何かで拘束するか、
もしくは動きたくても動けないような場所を
選ぶしかないね』
『前者は少し剣呑だけれど、
後者はいい方法が考えられそうね』
『拘束は比喩だよ笑、美味しいご飯とで釣るの』
『ならそれもよさそうな方法ね』
『桐谷さんの家に美味しいものを
届けに行くとかだと両方満たすね』
『名案ね、佐倉さんに頼めば上げてくれるかしら』
『明日に今日考えた方法で聞いてみるね』
『ありがとう、一応佐倉さんの連絡先を
私にも教えてくれるかしら?』
『わかった!グレープ作って二人を招待するね』
グループ名は適当に『除霊』とでもしておこう。
『すみれさんは何でも知っているのね』
『えへへ、霊美ちゃんも
慣れたらこれくらいできるようになるよ』
『そうなりたいわね、今日は遅いしもう寝るわね』
『うん!今日もありがとうね!
大好きだよ、おやすみなさい』
『今日もありがとう、大好き、おやすみなさい』
やり取りに満足して、
スマホを閉じ仰向けに寝転ぶ。
⋯出来れば電話がしたいな。
翌日。
「あ、やっほー」
「こんにちは」
またも昼休みの体育館裏で、佐倉さんと話し合う。
すみれさんは小用で少し遅れる。
「昨日はグループに誘ってくれてありがとねー」
「すみれさんが誘ってくれたのだから、
感謝は後で本人にお願い」
「わかったー、で今日は作戦会議だっけ?」
「ええ、すみれさんは少し遅れるそうよ」
「了解だよー」
⋯。
気まずい。
普段すみれさん以外の人とあまり会話をしないし、
佐倉さんは私とは少し
相性が悪い雰囲気があるから、
余計にそう感じるのかもしれない。
「あのさー?」
「何かしら?」
「二人は付き合ってるの?」
「!」
あまりに突然な質問で一瞬固まってしまう。
だが次の瞬間には答えなくてもいい
質問だと理解する。
「極端にプライベートな質問は
あまり感心しないわね、
もう少し軽い所から始めてもいいと思うわ」
「うん、まあ、その反応で大体察したよ」
佐倉さんが鋭いのか私が分かりやすすぎるのか。
「へー、ふーん、そうなんだ」
「何かしら」
「ううん、
やっぱりそういうのもありなんだなーって思って」
「⋯」
もう何を言っても都合のいいように取られてしまうので、何も言わないことにする。
「ここで黙るのも可愛いなー」




