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2 感傷―0
外で蝉が鳴いている。
その騒音が頭の中をぐちゃぐちゃに支配していた。
その代わりを被ったように、部屋の中はエアコンが止まっていて嫌に静かだ。
明かりも消えていて昼間とは思えないほどに暗い。
熱気にやられて今にも倒れそうだというのに、何故かあたしは寒くて仕方がなくて。
全身が痺れるように震えて、息もできない。
顎から一滴、雫が落ちる。体が夕立に遭ったみたいにビッショリと濡れていた。
眼球が乾いて痛い。なのに瞬きができない。
喧騒と静寂、潤いと乾き。対照の恐怖が順番に襲い掛かってあたしを蝕む。
──目の前にある死体を見つめ続けて、もうどれくらい経ったのだろうか。